春節(旧正月)や国慶節(建国記念日)など中国の最大の祭日のひとつ、中秋節の休暇が19日から始まるが、中秋節には欠かせない月餅が9月に入って市場に出回り出した。今年は例年とは違い、習近平国家主席による「倹約令」で、公務員が公費で月餅を購入することを禁じるなど、低調な中秋節商戦になりそうだ。
中国では中秋節に家族や親戚が集まり、中秋の名月を見ながら月餅を食べる一方、日本の中元や歳暮のように、お世話になった人々に月餅を贈ることが習慣となっている。北京紙「新京報」によると、今年は中国全体で総計28万トンの月餅が製造され、市場規模は100億元(約1600億円)にもなるとされる。
中には、上司への付け届けとして月餅を贈るさいに、月餅の中に札束を入れたり、金の延べ板を仕込むこともあり、一種の賄賂として使われることもあった。
今年の場合、共産党員の不正を糾す党規律検査委員会が3日、公務員の公費での月餅購入を禁止する通達を出しており、高価な月餅は敬遠される傾向が強まっている。
新京報の記者が北京市内各所の月餅売り場をのぞいてみると、1000元(約1万6000円)以上の月餅はほとんどなく、最も安いのは1個5元(80円)のバラ売りの月餅で、高くてもほぼ500元で、100元程度の月餅が平均的だと伝えている。
しかし、例外はあるもので、月餅の本体を入れる容器が金や銀でできた豪華版も売り出されており、最高で16万元(約256万円)の月餅が売り出されていた。その月餅型の容器は347グラムの純金が使われている。純金が50グラムの容器を使った月餅もあり、それは2万元(32万円)の値が付けられていたという。
これらの庶民には縁がないものの、「倹約令」にもかかわらず、中国では16万元の黄金製の月餅が売られているところに、腐敗の温床がなくならないことを示しているようだ。