楽天イーグルスの田中将大投手が開幕21連勝という歴史的快挙を達成した。活躍を支えるのは、意外にも(?)愛妻・里田まいさんの手作り料理だという。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が「意外性のススメ」を説く。
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こう言ったら失礼ですけど、シーズン前は誰も予想しなかった東北楽天イーグルスの意外な首位独走を支えているのは、マー君こと田中将大投手の大活躍です。13日のオリックス戦で開幕21連勝をマークし、昨年からの通算連勝記録も25に伸ばしました。いずれも世界新記録です。
そして、マー君の大活躍の原動力と話題になっているのが、去年3月に結婚した愛妻・里田まいさんの手の込んだ料理。日々の食事をオフィシャルブログ「里田まいの里田米」でアップしていますが、半端な豪華さではありません。
たとえば9月8日にアップされたメニューは、鶏胸肉のソテーやだだ茶豆ペペロンチーノ、筑前煮など、ご飯とデザートを除いて7品! 結婚を機に、日本野菜ソムリエ協会が認定する「ジュニア・アスリートフードマイスター」の資格も取得したとか。
こう言ったら失礼ですけど、結婚が発表されたときに、ここまで完璧に「内助の功」を発揮して、夫の並外れた大活躍を後押しするとは、誰が予想したでしょう。以前もこのページで、ラジオ番組をいっしょにやらせてもらっていたときのエピソードを紹介しつつ、彼女に「意外な聡明さ」を感じさせられた話を書きました。
交際が報じられたころから「最近、料理をちゃんと勉強し始めた」という話を聞いてはいましたが、まさかここまで本気だったとは! 聡明さだけでなく料理の腕前にも「へえー、意外」と驚いてしまったことを心からお詫びしつつ、イメージを裏切る意外性が醸し出すインパクトをあらためて思い知らされます。私たちも里田さんを見習って、たとえ小さなことでもいいので、周囲に「へえー、意外」と思ってもらえる行動を心がけたいところ。
会社で無骨で不器用そうなタイプに見られている自覚があるなら、いきなりキャラ弁を作ってきたり、一輪挿しをオフィスの机に飾ったりしてみるのはどうでしょう。弱々しそうに見られていそうなら、ある日いきなり耳に鉛筆を挟んで机に脚を載せながら競馬新聞を広げると、極端なギャップに周囲の女性たちはグッとくるに違いありません。飲み会では、甘いカクテルとウイスキーのロックを交互に飲めば、意外性のある男を演出できます。
うどんの世界で「意外性」といえば、偏狭なコシ信仰に真っ向から勝負を挑む、最近では堺雅人の意外な好物としても知られる「伊勢うどん」。三重県の伊勢神宮周辺で400年以上前から親しまれてきて、極端な太さとやわらかさ、そして真っ黒な見た目に反したまろやかさで、初めて食べた人は強烈な意外性で魂を揺さぶられます。
徐々にブームの兆しを見せている伊勢うどんですが、日本一やさしいうどんを育んだ伊勢神宮は、今年は20年に一度の式年遷宮。まだ行ったことがない人の予想をはるかに超えるスケールと厳粛さで、伝統の神事が執り行なわれています。
伊勢を訪れて伊勢うどんを食べるもよし、ホッペをつねりながら楽天の快進撃を応援するもよし、いろんな形でいろんな意外性に触れれば、意外性の何たるかを体得して一気にモテモテになるという意外な効能がもたらされるかもしれません。