中国空軍は中国全土に40か所以上の地下秘密基地を建設し、少なくとも1500機の戦闘機や爆撃機などを収容していることが分かった。敵の攻撃に備えるためで、地下基地に格納できる飛行機の数としては世界一で、核攻撃を受けても防備できるほどの頑丈さだという。ロシアの軍事専門サイト「ロシア軍事評論ネット」などが伝えた。
米議会が今年5月に発表した中国人民解放軍に関する報告書によると、中国空軍は戦闘機1700機、爆撃機600機、輸送機は475機を保有しているが、このほか実戦配備されていない旧型機が1450機あり、これは訓練用に使用されているという。
実戦配備されているのは2745機なので、地下の秘密基地に収容されているのは全体のほぼ半数となる。
中国では1960年代、旧ソ連や米国と激しく対立していた際、米ソの攻撃を警戒して、軍事基地や軍事拠点、重要な軍事施設や軍需工場などを沿岸部から内陸の山間部に移したり、新たに地下基地を建設した。
中国空軍の地下秘密基地は、主に険しい山間部の山腹をトンネル上に掘削したものがほとんどで、険しい地形上、敵が攻撃するのは極めて難しいとされる。
さらに、その内部は大量の鉄筋やコンクリートが使われており、空爆を受けたとしても、びくともしないほどの頑丈さだという。
このような地下秘密基地を建設した直接のきっかけは、1967年6月に勃発した第3次中東戦争だといわれる。イスラエル軍は開戦直後、保有する戦闘機や爆撃機などの9割に当たる183機を出動させ、最も軍事力が優れているエジプトを攻撃。
3時間も経たないうちに、エジプトの空軍基地20カ所、レーダー基地16か所を攻撃し、307機のエジプト空軍機を破壊した。イスラエル空軍の攻撃にエジプト軍はなすすべもなく、イスラエル空軍機と空中戦を交えたのはたったの8機だけで、すべて撃墜されたというほどだった。
出鼻をくじかれたエジプトなどアラブ連合軍はイスラエル軍の攻撃に歯が立たず、イスラエルはわずか6日で第3次中東戦争を勝利した。
この戦況を分析した中国軍首脳部は米軍やソ連軍が中国本土に奇襲攻撃を仕掛ける可能性があるとして、軍事基地などを沿岸部から内陸部に移し、地下秘密基地を多数建設したのだ。
地下空軍基地は中国以外では、米軍や韓国軍の攻撃を警戒する北朝鮮にも多数存在するといわれている。このほか、ロシア、スイス、スウェーデン、パキスタン、インド、サウジアラビア、あるいは台湾も建設済みとされる。
多数の空軍機を保有する国家で唯一の例外は米軍で、空軍基地はすべて地上に建設されている。とはいえ、仮に米軍基地を攻撃すれば、報復攻撃を受けるのは確実だけに、「世界最強の軍事大国」アメリカの自信の現れといえるかもしれない。