NHK『きょうの料理』『あさイチ』でお馴染みの“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(89才)が、この季節に美味しい秋鮭を使ったレシピを紹介します。
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長月(9月)に入りました。いまだ残暑厳しく、本格的な秋の到来は先のようですが、北の国では秋鮭の水揚げが始まりました。
鮭は養殖や輸入ものも充分に出回っていますし、一年中、手頃なお値段で手に入る家計の強い味方。低カロリーで低脂肪、ビタミンも豊富で栄養満点。鮭を嫌いな日本人はいないのではないかしら?
それほど日本の食卓とはなじみの深い鮭ですが、脂ののった旬の秋鮭は格別。塩をふって塩焼きに、あるいはバターでムニエルに…と、シンプルにいただくのはもちろん、幽庵汁に浸して香ばしく焼きますと、秋の風情が楽しめます。
材料は4人分です。幽庵汁の材料(酒・みりん各大さじ2、しょうゆ大さじ6)をバットに入れて混ぜます。生鮭の切り身4切れを入れ、ときどき上下を返しながら3~4時間漬け込み、味をなじませます。
魚焼きグリルで焼いてもかまいませんが、もしもオーブンがあれば、そちらのほうが煙やにおい、後始末が楽かと思いますよ。
オーブンをお使いになる場合は、オーブンを250℃に熱してオーブンシートを敷き、鮭の汁けを切って並べ、4~5分焼きます。焼き目がついたらアルミ箔をかけ、さらに6~7分焼きます。
幽庵汁にはしょうゆやみりんが入っているので、焦げやすいものです。鮭の様子をよく見ていて、焼き目がついたらアルミ箔をかぶせ、熱のあたりを和らげて、中まで火を通すようにしてください。
鮭がほどよく焼き上がりましたら器に盛り、酢どりみょうがと染めおろしを前盛り(料理の手前に添えられるつけあわせ)にします。
“染めおろし”は水けを絞りおしょうゆをかけた大根おろしのこと。酢どりみょうがもとっても簡単でおいしいの。みょうが4本は熱湯をくぐらせ、たっぷりの塩をまぶして5分置きます。水1/2カップ、酢1/4カップ、砂糖大さじ1.5、塩少量を合わせ、ここに縦半分に切ったみょうがを入れ、一晩漬けて出来上がりです。
※女性セブン2013年9月26日号