国際情報

中国の都市部住民「7割超が呼吸器系に異常あり」との調査も

 中国の環境汚染の進行具合は深刻という他ない。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 子供たちのからだで汚染度を計測するなどもってのほかだ!

 衝撃的な見出しで論陣を張ったのは『新京報』9月9日の社説である。扱った題材は大気の汚染だ。きっかけは温州楽清市の小学校で大勢の児童が一度に体調不良を訴えたことだった。

 北京の夕刊紙の記者が語る。

「場所は同市の北白象鎮第9小学校。新学期が始まって3日という短い期間に生徒19人が『鼻血が止まらない』と訴え、さらに100人以上が嘔吐、胸のむかつき、悪心を訴えたというのです。間もなく通報を受けた現地の環境保護部門が調査を行ったところ、同校近くの空気中で酸化クロムとベンゼンの値が基準をはるかに超えていたことが分かったのです。

 学校はすぐに休校とし、犯人探しが始めました。半径1キロ以内の31の工場を対象に調査を行い、うち問題のある3つの工場を電器と水の供給を止めるという強硬手段で生産停止の追い込み、ほどなく学校も通常に戻ったのですが、それでもまだ本当の原因にまでは行き当たっていないのです。学校は塗装を行ったばかりでベンゼンの値も高かったと言われます。また同じころ、滄州市の小学校で大量の生徒が咳と涙が止まらないという症状を訴える事件も起き、その原因が大量のホルムアルデヒドだったことも伝えられていますからね」

 環境ホルモンか大気汚染か――。いずれが原因にせよ、この問題が報じられると大きな反響が国内で起きた。冒頭紹介した社説もその一つだ。

 中国では、大気汚染が深刻な北部の人間の方が南部よりも寿命が5年短いといった噂も流れたほど。人々の環境は悪化の一途をたどっている。6月末に発表された『2012中国健康報告』(中国医師協会、中国医院協会、北京市健康保障協会の合同調査)によれば、調査対象となった都市住民68万7000人のうち、77%の人が呼吸器系に何らかの異常をかかえていたという。

 この事態を受けて北京市は、2017年までにPM2.5の値を2012年時点から25%下げるという目標を掲げて発表、第6環状線のなかにある企業を次々に追い出す計画を立てたが、それが根本的解決になるのか、それとも北京オリンピックのときのような別の場所に移すだけになるのか、いまのところ市民は半信半疑なのだという。

関連キーワード

トピックス

主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン
犬猿の仲といわれていた織田裕二と柳葉敏郎
織田裕二『踊る』スピンオフ『室井慎次』にこっそり出演 「柳葉さんがやるなら…」と前向きに検討、確執は昔の話 本編再始動への期待も高まる
女性セブン
谷川俊太郎さん(右)への思いを語った中島みゆき(左)(事務所の公式HPより、右は共同通信社)
中島みゆきが独占告白「本当に星になっちゃった。でも星は消えないですから」言葉の師と尊敬する谷川俊太郎さんとの別れ、多大な影響を受け大学の卒論テーマにも選択
女性セブン
ともに二世落語家という共通点も(左から三遊亭王楽、林家正蔵)
【過去に確執も手打ちか】三遊亭王楽「七代目円楽襲名披露興行」に父・好楽の“因縁の相手”林家正蔵が出演で落語界も騒然
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《慶應SFC時代の “一軍女子”素顔》折田楓氏がPR会社を創業するに至った背景「女子アナ友人とプリクラ撮影」「マスコミ志望だった」
NEWSポストセブン
SNS上だけでなく、実生活でも在日クルド人への排斥デモやヘイトスピーチが目立つようになっている(店舗SNSより)
「日本人は大好きだけど、もう限界です…」『ハッピーケバブ』在日クルド人の社長が悲鳴、親日感情をへし折る\\\\\\\"ヘイト行為\\\\\\\"の実態「理由もないのにパトカーを呼ばれて…」「脅迫めいた電話が100回以上」
NEWSポストセブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
《次は高校の卒業旅行に突撃》「1年間で600人と寝た」オーストラリア人女性(26)が“強制送還”された後にぶちあげた新計画に騒然
NEWSポストセブン
折田氏(本人のinstagramより)と斎藤知事(時事通信)
《折田楓社長のPR会社》「コンペで5年連続優勝」の広島市は「絶対に出来レースではありません」と回答 斎藤知事の仕事だけ「ボランティア」に高まる違和感
NEWSポストセブン
中井貴一
中井貴一、好調『ザ・トラベルナース』の相棒・岡田将生の結婚に手を叩いて大喜び、プライベートでゴルフに行くほどの仲の良さ 撮影時には適度な緊張感も
女性セブン
東北楽天イーグルスを退団することを電撃発表し
《楽天退団・田中将大の移籍先を握る》沈黙の年上妻・里田まいの本心「数年前から東京に拠点」自身のブランドも立ち上げ
NEWSポストセブン
妻ではない女性とデートが目撃された岸部一徳
《ショートカット美女とお泊まり》岸部一徳「妻ではない女性」との関係を直撃 語っていた“達観した人生観”「年取れば男も女も皆同じ顔になる」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
《バーキン、ヴィトンのバッグで話題》PR会社社長・折田楓氏(32)の「愛用のセットアップが品切れ」にメーカーが答えた「意外な回答」
NEWSポストセブン