国内

10月から段階的に2.5%減額の国民年金 更なる減額の可能性も

 9月3日、政府は10月からの年金支給額(12月支払い分から)を、予定通り1%引き下げる政令を閣議決定した。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さんが、この背景を説明してくれた。

「老齢基礎年金、いわゆる国民年金の場合、1%引き下げられると、現行の6万5541円から666円減の6万4875円になります。年金は偶数月に2か月分まとめて支給されますので、適用となる12月は、以前よりも1332円少なくなっているはずです」(北村さん、以下「」内同じ)

 本来、年金は“物価・賃金スライド制度”だった。これは、物価の変動に応じて年金額を改定し、また5年に1度、賃金の上昇率を見ながら支給額を増減する制度だった。

「ここ十数年、日本は物価と賃金が下がり続けるデフレ経済でした。当然、年金支給額を下げなければならなかったのですが、受給している高齢者からの反発を恐れて、政府は減額を先送りし続けてきたのです」

 1999年には3年間給付の水準を据え置く“特例水準”を設定。本来水準が特例水準を超える(つまりインフレになる)のを待ったが、デフレを脱却できず、本来より高い水準のまま支給されていた。

「その後、何度か年金額を下げて調整を図りましたが、結局、本来水準よりずっと高い状態が続いてきた。毎年本来水準より1兆円以上多く給付しており、累計で7兆円にものぼりました。そこで、本来水準と乖離していた2.5%分を段階的に解消しようというわけです」

 さらに、こんな懸念も。2004年から、年金は“マクロ経済スライド”が導入された。これは簡単にいうと、“少子高齢化の進行に合わせて、年金の給付額を自動的に減らす仕組み”だ。年金保険料を負担する若い世代の減少を加味し、給付額を減らして年金財政を確保するという狙いがある。

 この制度は特例水準が解消されるまで発動しないと決められていたため、これまで実施されなかった。しかし、今回特例水準が解消されると、実施される可能性が出てきた。北村さんはこう指摘する。

「この仕組みでは、物価や賃金が上昇してもそれほど年金支給額は上がりません。仮にアベノミクスで2%インフレが進んでも、年金は1%程度しか上がらない計算になるので、物価の上昇に追いつかない。年金生活者は、かなりの打撃を受けるでしょう」

※女性セブン2013年10月3日号

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン