この春、円安による輸入価格上昇で「やむを得ない措置」とガソリンや食用油、小麦、生鮮野菜が値上げされた。夏には袋入りウインナーやツナ缶、冷凍食品、豆菓子などの食品で価格は同じでも容量を減らす「隠れ値上げ」が行なわれた。
デフレ経済の下、商品が売れなくなることを懸念してコストアップを企業努力で吸収し、値上げを踏みとどまっていた企業が、消費者の顔色をうかがいながら恐る恐る値上げに動き出したのがこの間の傾向だった。
そしてこの秋、怒濤の値上げラッシュがやってきた。「値上げしても消費者が怒らない」と見て取った企業が、我も続けと業界ごと堰を切ったように価格引き上げに走っているのだ。
パンでは業界首位の山崎製パンが主力の食パン「芳醇」を値上げすると、敷島製パンは「超熟」、第一屋製パンも追随して「モーニングセレクション」や菓子パンを引き上げた。
それを皮切りに、次は牛乳、ハム・ソーセージからチーズ、冷凍食品など主要食品が10~11月に軒並み値上がりする。日本酒やワインも大手メーカーが横並びで1000品目以上の値上げ方針を打ち出した。“みんなで上げれば恐くない”という姿勢が垣間見える。
※週刊ポスト2013年10月4日号