都庁前の広場は、人・人・人で埋め尽くされた。
東京五輪招致決定2日後の9月10日夜、東京都庁では招致団による報告会が行なわれた。新聞報道によれば、集まったのはなんと6000人! 猪瀬直樹・東京都知事、「お・も・て・な・し・スピーチ」が話題となった滝川クリステル氏、パラリンピック陸上の佐藤真海選手ら、招致活動の「顔」たちの集客力はさすがだと感心していた人も多いだろうが、実はそこにはある“仕掛け”があった。
「都庁は、全職員にメールでイベントに動員をかけていたんです。都民が一致団結してオリンピックに向けて進んでいこう、とアピールするのに、報告会が閑散としていては目もあてられませんからね。まァ、よくあることですよ」(都庁職員)
な~んだ、6000人は“サクラ込み”の人数だったのか。
「ちなみに会場には招致反対派の団体も数十人いて、彼らのヤジで招致団の報告の声が聞こえなかったほど。あの人たちも6000人のうちにカウントされていたんでしょうか(笑い)」(大手紙記者)
もうひとつ気になる情報がある。
「イベントが終わった後、都庁に戻った職員が相当いた。“動員メール”には〈お時間のある方はぜひ、会場にお越し下さい〉とあったが、19時開始だったので実際は仕事を中断して顔を出した人も多かったんです。彼らの参加は事実上、残業代に計上されていたんじゃないか」(別の都庁職員)
東京都は「五輪準備基金」として、税金から約4000億円を積み立てている。まさかとは思うが、報告会を盛り上げるために残業代、つまり都民の税金が使われていたとしたら、無駄遣いとしかいいようがない。
都庁に確認すると、「スポーツ振興局が、都庁に勤務する全職員(編集部注・約8000人)に一斉メールを送りました。ただし、これは動員ではなく、あくまで呼びかけです。職員に残業代が発生していたかどうは把握していません」(スポーツ振興局総務部)との返答だった。
※週刊ポスト2013年10月4日号