モーニング娘。が再ブレークしている。8月下旬発売のシングル『わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団』で、11年半ぶりとなるシングルランキング3作連続首位を達成した。AKB48、ももいろクローバーZなど人気グループが乱立するアイドル戦国時代のなか、モー娘。が“復活”できたのはなぜか?
音楽評論家の富澤一誠氏はこう語る。
「グループ内外での争いにより全体のレベルが上がったことが挙げられると思います。ハロー!プロジェクトでは研修生がどんどん入ってくるので、まずグループ内での争いがある。それに加えて、AKB48、ももクロら新しいアイドルグループや、K-POP勢が台頭するなかで、外部のライバルとの勝負しなければならない。そうしたなかで、よりレベルの高いパフォーマンスが求められるようになったのです」
そのひとつがダンスだ。今年1月発売された『Help me!!』では一糸乱れぬダンスパフォーマンスを見せ、ファンからは「モー娘。史上最高のダンス」「K-POPと対抗できる」との声も上がった。Perfumeののっちは、雑誌のインタビューで「11人であのダンスは凄いと思います」と絶賛。
マツコ・デラックスも、テレビ番組でモー娘。のダンスについてAKB48と比較し、「今のモー娘。すごいわよ。ダンスとか」と語ったほどだ。
1997年、安倍なつみ、中澤裕子らオーディション番組で合格した5人のメンバーで結成されたモー娘。。その後、メンバーが加入、卒業、脱退を繰り返していくことで注目を集め続けた。その一方で、人気メンバーが相次いで抜けたことでグループが弱体化。次第に人気も低迷していった。今年1月発売の52枚目のシングル『Help me!!』で記録したランキング1位は、実に4年ぶりだった。
アイドル評論家の北川昌弘氏は、メンバーの加入、卒業、脱退を繰り返すこのシステムが、今のモー娘。の人気にはプラスに働いていると指摘する。
「今のモー娘。はほかのアイドルグループと比べて、年齢が若いです。24才の道重さゆみさんを除けばみんな10代。13才のメンバーもいます。低年齢のアイドルを応援するファンが増えてきているなかで、“フレッシュなアイドルグループ”として着実にファンを獲得しています。人気メンバーの卒業、脱退はグループの人気が下がる要因になりうるわけですが、モー娘。はそうならないために、若手を積極的に加入させ、一部の人気メンバーに頼らないグループを作り上げています。これは長期的にグループの人気を維持するためには不可欠な要素だと思います」
モー娘。はほかのアイドルグループに比べて、歌唱力が高いという評価もある。メンバーの小田さくらは昨年9月、歌唱力を評価されハロプロ研修生から昇格。プロデューサーのつんく♂が歌唱力を重視している姿勢がうかがえる。
「つんく♂も、ほかのアイドルとの差別化という意味でも、歌唱力をアピールしていく戦略をもっていると思います。以前、メンバーのひとりと話したのですが、モー娘。では曲が決まったときに、メンバーが自分の歌いたいところをアピールしないとダメだと言っていました。自分のパートは与えられるものではない、アピールしないともらえない、という意識が強いと。そのためには歌のレベルが高くなければならないわけで、だからこそ、全体の歌唱力も磨かれていったのでしょう」(前出・富澤氏)
結成から16周年を迎えた“老舗”が猛烈に巻き返しを図っている。