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秋にも増える花粉症「薬の効果と眠気に関連性ない」と研究者

 暑さも一段落したこの季節。目のかゆみや鼻がグズグズするなど、なんだか近頃、調子がおかしい……と感じているなら、「秋の花粉症」を疑ったほうがいいかもしれない。花粉症といえば春のイメージが強く、花粉注意報が出されるなど日本中が花粉の飛散状況を気にする時期となっている。しかし、花粉が飛散するのは春に限らない。実は秋は“第2の花粉シーズン”と言われ、花粉症を発症しやすい時期なのだが、春に比べて対策を取っている人は少ないという。

 オリコンの調査によると、秋に花粉症があることを知っている人は約7割と認知度が高いが、アレルギー症状が出ていても風邪と思い込んでしまったことがある人が4割以上を占めている。秋の花粉症について改めて考えるべく、オリコンでは今年の春の花粉症の実態と対策について、20~50代のビジネスマン・ビジネスウーマン1000人に調査を実施した。

 その調査結果と傾向を見てみると、「花粉症が日常生活に支障をきたした」と感じる人は66.7%、困ったことの1位は「集中力や注意力の低下」(65.2%)。花粉症の人の36.8%が「花粉症によって仕事の段取り・効率が悪くなる」、36.6%が「マスクをすると相手の気持ちが読み取りにくい」と感じている。

 また花粉症対策では、1位「内服薬」、2位「マスク」、3位「目薬」で、最も効果的な対策の1位も「内服薬」(46.1%)という結果となった。その一方で、“眠気などを嫌って、薬を使用しない人が多い”という実態も浮き彫りになっている。

 そこで花粉症薬について、東北大学大学院医学系研究科教授の谷内一彦氏に話を聞いた。

「アレルギーの主な原因となるヒスタミンの働きをブロックするためには、抗ヒスタミン薬を使うと有効ですが、抗ヒスタミン薬を飲んで、計算ミスが増えたり眠くなった経験を持つ人は多いと思います。これは『鎮静性抗ヒスタミン薬』による、『鈍脳』と呼ばれる状態です。具体的には中枢抑制作用によって集中力・判断力・作業能率が低下した状態で、『インペアード・パフォーマンス(損なわれたパフォーマンス)』とも呼ばれます。

 日本人は、眠気が強く出る薬は効果も高いと思っている人が多く、7割にも達するという調査もあるのですが、それは誤解です。効果と眠気に、関連性はありません。また夜は眠くなる『鎮静性』がいいという人もいますが、翌朝に薬による『二日酔い』状態になることもあり注意が必要です」

 ではアレルギーを抑えて、仕事などに影響しない薬はあるのだろうか?

「『鎮静性抗ヒスタミン薬』は、1960年代頃から使用されてきた第1世代の抗ヒスタミン薬全般、1980年代後半から登場した第2世代の抗ヒスタミン薬の一部も鎮静性抗ヒスタミン薬です。この『鈍脳』作用を取り除いた『非鎮静性抗ヒスタミン薬』が登場して、近年には世界的に主流となっています。国内でも昨年からOTC医薬品としても『非鎮静性抗ヒスタミン薬』の市販が始まっているので、ぜひ取り入れてみるといいでしょう。

 眠くなったりしない『非鎮静性』の成分として、代表的なものにはフェキソフェナジン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、セチリジン塩酸塩などがあります。『鎮静性』か『非鎮静性』の区別は同じ商品名でも入っている成分によって異なるので、必ず薬剤師に相談するとよいでしょう。第2世代の非鎮静性抗ヒスタミン薬は、花粉が飛散し始めたら、早めに服用を始めて、シーズン中は毎日飲み続けるのが効果的です」(谷内教授)

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