9月28日にいよいよ最終回を迎えるNHK連続テレビ小説『あまちゃん』。最高視聴率は27.0%を記録(9月16日放送)し、朝の放送以外の再放送分も合わせると、視聴率は50%超ともいわれるだけに、もはや社会現象の域に達している。
『あまちゃん』の物語は2008年から始まり、時折春子(小泉今日子)がアイドルを目指していた1980年代にプレイバックしながら、2013年現在にまで時間は流れていく。
そして、現実に起こった出来事やそのパロディーが描かれている。新潟青陵大学大学院教授で社会心理学者の碓井真史さんが言う。
「身近でありながらどこにも存在しない、現実によく似たパラレルワールドを宮藤官九郎さんは作りました。どこにもない町という架空の設定ではあるけれど、たとえば、北三陸市の風景は久慈市のロケーションと変わりがない。そんなリアル感があるから、視聴者は宮藤さんの作った異空間に吸い込まれてしまったんです」
そのリアル感を出すために、制作側は細部の演出に徹底的にこだわった。アキ(能年玲奈)のプロフィールは事細かく設定。高校の入学式の天気まで調べていた。
通常、朝ドラの台本は1回分が15ページほどだが、『あまちゃん』の台本は20数ページにわたり、びっしり設定やセリフが書き込まれていた。
そして、能年をはじめ、出演者もリアル感を出すために、工夫を凝らした。
春子役の小泉は、東京から北三陸に住み始めてまもなく、『ブティック今野』のダサい服を着始めるが、これは、小泉の発案だという。
宮藤をはじめ、スタッフや出演者が一丸となって、視聴者が入り込みやすい『あまちゃん』世界を作っていった。
※女性セブン2013年10月3日号