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偶然の産物で誕生の高野豆腐 秋においしい「含め煮」レシピ

 NHK『きょうの料理』『あさイチ』でおなじみの“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(89才)が、暑さも去り、秋においしい「高野豆腐」の煮炊きの作り方を教えてくれました。

 * * *
 くろがねの 秋の風鈴 鳴りにけり――

 夏から吊るされたままの鉄製の風鈴が、秋風に吹かれてチリリンと鳴った。もう秋だなあ…という、飯田蛇笏(いいだ・だこつ)の句です。

 夏の終焉を惜しみながらも、心地よい秋風にちょっとホッとする今日この頃、ようやく煮炊きが苦でなくなってまいりましたね。お魚や根菜がおいしい季節の到来ですが、こちらはおいおいお話しするとして、今回は、滋味深く薄甘い煮汁が秋の食卓によく似合う、高野豆腐をご紹介したいと思います。

 常備しておきますとたいそう便利な乾物の代表格。副菜にぴったりですから、ぜひ、覚えておいてくださいませ。

 高野豆腐は、お豆腐を凍結乾燥させた日本の伝統的な保存食です。高野山の宿坊で作り始めたのが発祥とされますが、たまたまお豆腐を野外に放置したらできたのだとか(笑い)。偶然の産物だったのですね。

 東北地方では“凍み豆腐”と呼ばれ、こちらは戦国大名の伊達政宗が兵糧研究の末に開発したといわれます。

 青森の実家でも、高野豆腐は母の台所の必需品でしたし、私も専業主婦時代には大変重宝しました。冷蔵庫がなかった時代、日本の主婦たちにとって、乾物は身近なものであり、欠くことができないものだったのです。

 高野豆腐の扱いはじつに簡単です。ぬるま湯につけて充分に水を吸わせて戻すだけ。この時、高野豆腐が浮かんでこないよう、落とし蓋をしてください。戻ると約2倍の大きさになります。これを水に浸しながら手のひらで静かに押し洗いし、最後に両手に挟んで水けを絞り、下ごしらえは完了です。

 さて、含め煮の作り方をお伝えしましょう。材料は4人分です。

 高野豆腐2枚は戻して水けを絞っておきます。鍋にだし汁1カップを煮立て、砂糖・酒・薄口しょうゆ各大さじ1、みりん大さじ1と1/2、塩少量を加え、高野豆腐を入れます。アルミ箔をかぶせて弱火で汁けがなくなるまで煮て、最後に小さめの鍋蓋で押さえて汁けを出しながら煮ます。食べよく切って、せん切りにしたゆずを飾ります。

※女性セブン2013年10月10日号

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