戦力外通告――プロ野球選手にとって、もっとも残酷な宣告が下される時がやってきた。第1次通告は、10月1日から全球団のレギュラーシーズン終了の翌日まで。第2次通告は、クライマックスシリーズ全日程が終了した翌日から日本シリーズ終了翌日まで(日本シリーズ出場チームは日本シリーズ終了の5日後まで)となっている。
近年オフシーズンになると、戦力外通告から12球団合同トライアウトを経て、移籍球団決定もしくは引退までを追いかけるテレビ番組『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』(TBS系)が放送されることもあり、解雇選手がにわかに注目を集めている。
毎年、トライアウトは日本シリーズ終了後の11月中旬に行なわれるが、受験前に合否が決定しているケースも少なくないという。球団関係者が語る。
「獲得したい選手がいれば、球団は『とりあえずトライアウトを受けてくれ』と伝えることもあります。この要請があった時点で、入団はほぼ決定です。だから、トライアウトで結果を残せなかった選手でも、移籍先が決まることがあるのです。
トライアウトは一発勝負ですが、それで全てが決まるわけではない。各球団とも、一軍や二軍で、目当ての選手をチェックしています。重要なのは、シーズン通しての活躍であり、特に終盤の二軍戦は最後のアピールの機会となります。むしろ、トライアウトよりもそちらのほうが大事です」
各球団とも、チーム事情を考慮しながら、『左の中継ぎ』『右の代打』などと足りないパーツを集めていく。日本シリーズ前に行なわれるドラフトでよい選手が獲れれば、解雇リストに名前が浮上する選手も出てくる。スポーツライターが語る。
「今年、戦力外通告を受けても、現役続行を希望しそうな有名選手はDeNA森本稀哲、ロッテ・吉見祐治、巨人・辻内崇伸などですね。昨年、1700万円から600万円に大幅に減俸して、『税金が払えない』と嘆いたDeNA細山田武史も濃厚でしょう。早稲田大学時代は斎藤佑樹の女房役を務めましたが、昨年も今年も一軍出場なし。
2010年オフに一度解雇されながら再契約に至った日本ハム・多田野数人も、崖っぷちに立たされています。4月以来一軍登板なしで、33歳とベテランの域に達していますからね。交流戦時に起用法で不満を漏らし“造反劇”を起こしたソフトバンク・松中信彦は引退の可能性もあります。しかし、このまま終わるのはあまりにも印象が悪い。現役にこだわるなら、戦力外通告からの他球団移籍もあるでしょう」(スポーツライター)
これらの選手はトライアウト前に移籍が決まる可能性も高いが、オフに放映されるテレビ番組『戦力外通告』に出ることになれば、視聴率は跳ね上がりそうだ。