閉経が近くなって女性ホルモンの分泌量が急激に減り、ホルモンバランスが崩れることが原因で、さまざまな症状を引き起こす更年期障害。体がほてるホットフラッシュや頭痛、めまいのほか、「その症状は100通りあると言われています」と成城松村クリニックの松村圭子院長は言う。
症状がさまざまで、個人差も非常に大きいが、そのために更年期のような症状の陰に潜んでいる、重大な病気を見逃してしまっている危険性もある。松村院長が続ける。
「先の甲状腺の病気のほか、膠原病や関節リウマチの可能性もあります。気をつけておきたいのは、脳神経系の病気。くも膜下出血は急激に頭痛が始まり、脳梗塞は片側に症状が出るので区別はつきやすいと思いますが、やはり更年期症状同様、頭痛やめまいを伴います。めまいも、もしかすると、難聴や耳鳴りを伴うメニエール病など耳鼻科系の病気である可能性があり、放っておくと耳が聞こえなくなる危険性があります」
更年期症状としてのうつを放置していて、本格的なうつ病になってしまうケースも。さらに腰痛も、放っておくと命にかかわる場合がある。
「ちょっと太ってお腹が出てきたなとか、腰がだるくなったなと思っていたら、卵巣がんだったというケースもあります。卵巣がんは進行した手遅れの状態で見つかることが多いので、これこそ検診をしっかりしておくべきです」(松村院長)
「更年期だから」「年のせい」「生まれもった体質」といって、症状を我慢して放置しておくのは非常に危険なのだ。
「更年期になり、やがて閉経すると、それまで女性ホルモンが守ってくれていた骨や血管が一気に老化してしまいます。血圧が高くなり、血糖値も上がりがちになる。脳梗塞や心筋梗塞、骨粗鬆症などが男性並みに増えていきます。中高年になったら、老化に向かっていることを自覚していかなければいけません」(松村院長)
※女性セブン2013年10月10日号