目下、オファー殺到中──。『半沢直樹』のオネエキャラでブレイクした歌舞伎役者・片岡愛之助(41)の、次なる作品として浮上しているのはなんとも意外な映画だった。
映画評論家で2008年に亡くなった水野晴郎氏が監督、製作、主演をこなし、コアな映画ファンの間でカルト的人気を誇る『シベリア超特急』。その最新作への出演が予定されているという。
太平洋戦争の最中、満州へ向かうシベリア鉄道で起こる殺人事件などを解決する同作(現時点では2005年に公開された『シベ超5』が最新作)は水野氏亡き後、続編が途絶えていた。
しかし、このたび水野氏の一番弟子で過去の『シベ超』シリーズにもレギュラー出演していた西田和昭氏(55)が監督・脚本を務めることが決定。その西田氏のオファーに、「二つ返事で愛之助さんはOKした」(映画関係者)という。西田氏に話を聞いた。
「愛之助さんは映画デビューが『シベ超5』だったので思い入れがあるんです。実は、俳優としての愛之助の才能を発掘したのは水野先生だったんです。先生は大の歌舞伎ファンで、彼がまだ無名だった頃から、『彼は将来一番伸びるぞ』といって、熱心に映画出演を打診していました」
水野氏の若手発掘の眼には定評がある。今や演技派女優として名高い寺島しのぶ(40)も映画初出演が『シベ超2』(2000年)で、その後の飛躍の足がかりとなった。
「『シベ超5』では万里の長城から転げ落ちるシーンがありました。スタジオ内で、10メートルの高さからワイヤーに吊されながら落ちるんですが、スタントマンなしで取り組んでいました。心意気が伝わってくる体当たり演技でしたね」
『シベ超』最新作は現在、来年1月のクランクインに向け準備段階。ほか、ニューハーフAV女優の荒木レナ(23)などの起用が予定されているなどバラエティに富んだキャスト陣、ストーリーとなりそうだ。
関係者によれば、愛之助の出演はまだ“本決まり”ではないというが本人は早くも、「来年は水野さんの七回忌でもあるし、恩返ししたい」との意気込みをみせているという。
※週刊ポスト2013年10月11日号