9月19日、プロ野球・加藤良三コミッショナーの「投げ出し辞任」表明によって、球界全体の人事が混迷を極めている。
まずはコミッショナーの後任人事。コミッショナー代行には、現在コミッショナー顧問を務める熊崎勝彦・元東京地検特捜部長の名前が有力視されているが、熊崎氏はあくまで「代行」であり、後任は別の人物が務めることになる見通しだ。
「様々な名前が挙がっているが、条件は、“現場に精通して、球界全体を読めて、誰もが納得できる行動力のある人”といわれている。そうなるとあの人しかいない」(パの球団関係者)
それはもちろん、ソフトバンク会長の王貞治氏だ。
球界には「困った時の王頼み」という言葉がある。現にこれまで、困った時は王氏に頼めば、すべてが丸く収まってきた経緯があった。WBCの1回目の監督然り、名球会の理事長然りである。しかし、今回ばかりは王氏も最初から固辞したという。
「王さんに対しては、すでに巨人の渡辺恒雄会長が非公式でコミッショナー就任を打診していた。それに対し王さんは、今年の夏頃にわざわざ上京して、断わりを入れたようです。
73歳という高齢に加えて、胃の全摘手術を経験している。年齢的にも体調的にも難しいですからね。だからオーナーたちの間では、そろそろ若手を登用した方が良いのではないかという声も出始めている」(スポーツ紙記者)
その若手で名前が挙がるのが、元ヤクルト監督の古田敦也氏だ。球界きっての理論派で、2004年の球界再編時に選手会会長として陣頭指揮を執った経験から、選手会との折り合いもいい。統一球問題でこじれた関係を修復できるのではないか、という期待もある。
ただ黙っていないのが、球界の重鎮OBたちだ。最近の記者たちとのオフレコ懇談の中では、いつもコミッショナー人事の話題が挙がり、様々な爆弾発言が飛び出しているという。スポーツ紙デスクが語る。
「特に古田案には反発が大きく、“アイツは若すぎるからダメ”とか、“監督としてリーグ優勝もしたことのないヤツにまとめられるわけがない”などといった声が続出した。
なんと王さんに対する批判もある。中には、何でも王さんに頼ることに明らかな嫌悪感を示し、そうやって祭り上げる人だけでなく、王さん自身への個人攻撃ともとれる発言をするOBまでいる」
※週刊ポスト2013年10月11日号