9月19日に辞任表明したプロ野球・加藤良三コミッショナーの後任候補に、早くも球界の重鎮OBたちからソフトバンク会長の王貞治氏や元ヤクルト監督の古田敦也氏などの名前が挙がっている。
しかし、OBたちはなぜここまで、コミッショナー人事に注目しているのか。ある若手OBが声を潜めて語る。
「大きな原因は、コミッショナー候補として名前が浮上しているもう1人、楽天の星野仙一監督なんです。今年はあの人の去就が、我々OBの来年を決めかねない状況ですからね」
今季、創設9年目の楽天はリーグ優勝、そして初の日本一に向けて快進撃を続けている。当然、これはチームを率いた星野監督の功績である。三木谷浩史オーナーは、今年8月の時点で本拠地・クリネックススタジアム宮城を訪れ、早々に星野監督への続投要請を行なった。
しかし、星野監督は「シーズン中なので」と返答を保留した。
「優勝監督が続投要請を断わるなんてあまり例がない。最近では、それこそ星野さんが阪神で優勝した直後に勇退したが、あれは体調不良という理由だった。今回は別にそんな様子はありません。
王さんがかつて“ユニフォームを着て死にたい”といっていたように、野球人たるもの、普通はいつまででもユニフォームを着ていたいと思うもの。続投要請まで受けて態度を保留するということは、何かしら他に狙いがあるとしか思えない。コミッショナーの有力候補として名前が挙がっているからでしょう」(スポーツジャーナリスト)
星野コミッショナーは決して“絵に描いた餅”ではない。
「後任はオーナー会議で決定することになるが、セは巨人、つまり渡辺会長が推薦する人材を推すことになり、パはイニシアチブを取っている楽天の三木谷浩史オーナーを中心に人選をすることになる。この両者に近いのが星野さん。一気に進展する可能性がある」(セの球団関係者)
星野監督自身もまんざらではない様子で、他のOBと同じく、親しい記者たちとのオフレコ会合では、コミッショナーの話題をよく口にするという。
そのため、「後任の情勢がハッキリするまで、続投要請への態度を明確にはしないのではないか」(同前)という見方が強い。
※週刊ポスト2013年10月11日号