高須クリニックの高須克弥院長が、世の中の様々なトピックに自由な意見をぶつけるシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、近ごろ世間で話題の「ぽっちゃり女性」にスポットを当てる。ぽっちゃり女性向けのファッション誌が売れ行き好調かと思えば、老舗ファッション誌『CanCam』が「ぷに子オーディション」と題してぽっちゃり女性を対象としてモデルオーディションを開催するなど、空前のブームとなっている。美のスペシャリストである高須院長は、このブームをどう見る?
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──最近は“モテぽちゃ”や“ぷに子”などというキーワードとともに、ぽっちゃりした体形の女性がモテるようになったと言われています。
高須:ぼくは「小太りが長生きする」「小太りこそが美しい」ってずっと言い続けてきたんだけどね(笑い)。
──やっと時代が高須院長に追いついたというか…。
高須:ホントそうだよ。ちょっと遅いよ(笑い)。まあでも、水商売の女性を見ても、ガリガリだとあんまりお客さんがつかないでしょ。どの店でもNo.1は多少肉付きが良くて、パツンとした女性。ぽっちゃりがモテるっていうのは、今に始まったことではないんですよ。
おそらく女性にしてみたらちょっとデブだと感じるくらいのほうが、男が本当に「このオンナ、いいなあ」って思う体形なんだよ。でも、女性は「痩せたい」とか「痩せてるほうがキレイ」って言い張るから、男性としても「ぽっちゃりのほうが良い」とは、言いづらくなる。男性のほうが弱いから、すぐ女性に従っちゃう。
──いわば、ぽっちゃりがモテる時代になったのは、あるべき姿になったということですね。
高須:そうそう。だって、日本の美人っていうのは、もともとぽっちゃりした女性のことだったわけだから。それこそ土偶なんてものもそうだし、平安美人もそう。江戸時代だって明治時代だって、ぽっちゃりした女性が美人だった。昭和に入っても戦前までは、ガリガリの女性より、ちょっと太っているくらいの女性のほうがモテてたんだからね。
──ということは、痩せている女性が好まれるようになったのは、戦後になってからということになりますね。
高須:戦争に負けて、アメリカ文化が一気に流れこんできたところで、変に影響を受けちゃったんだろうね。
食生活の問題や遺伝的な問題もあるんだけど、アメリカの場合は、不健康な“超デブ”が多くて、健康的な小太りが少ないんだよ。だから、どうしても痩せたほうがいいっていう考え方が強くなってくる。それで、アメリカ政府としても、そういうプロパガンダを打つわけだ。本来、日本人にはまったく合わない考え方なんだけど、それに日本も騙されちゃったんだろうね。アメリカ的価値観の上にしか成り立たないはずの「女性は痩せてるほうが美しい」っていう思想を信じ込んじゃったんだよ。
──そういう意味で、ぽっちゃり女性がモテるようになったということは、アメリカからの脱却であるとも言えそうですね。
高須:ここにきて、やっと“戦後“が終わったっていう感じかな。だいぶ時間がかかったな(笑い)。あとは、日本の右傾化が進んでいるっていう考え方もできるけどね。たとえば、大東亜戦争のときのポスターなんかを見ても、女性はやっぱりぽっちゃりしてるんだよ。もしかしたら、そういうイメージもあったりしてね。
──戦後ではなく、戦時中の感覚ってことですか?
高須:最近は日中韓の関係が良くないから、日本人が潜在的に“有事”を感じているのかもしれない。そういう状況ではガリガリの女性よりも生命力の強そうなぽっちゃりした女性のほうが求められるはず。東アジア情勢がきな臭くなるに連れて、知らず知らずのうちに日本人も戦時中の感覚に近くなっているのかもな。つまり、ぽっちゃり女性がモテてるのは、日本の右傾化の象徴ってこと…。さすがに、ちょっと言い過ぎかな(笑い)。
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独自の視点でモテぽちゃブームを分析した高須院長。まさか、日本の右傾化との関連性を指摘するとは…! 近い将来に“有事”が訪れることは微塵もうれしいことではないが、女性だけでなく男性もぽちゃブームを歓迎していることは間違いない。このモテぽちゃブームは、まだまだ続きそうだ。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)など。近著は『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)。