芸能

クドカン母 手書きの“親バカ通信”で息子作品を地元で宣伝

 黄金色の稲が実った水田が広がるのどかな町、宮城県栗原市。2年半前の東日本大震災では、津波の被害はなかったものの、最大震度7を記録し、水道や電気が使えない日が続いた。今ではすっかり復興したように見えるが、一歩家の中へ入ればひび割れはそのままの状態で、住居を取り壊して更地にした空き地には草が生い茂っている。

 そんな栗原市の商店街にある一軒の文房具店が、今賑わっている。9月28日土曜日、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の最終回が終わってから、その文房具店には感謝の言葉が綴られたメッセージやお祝いの花束が届いていた。

 ノート、ペン、絵の具や半紙など学校で必要なものが揃う他、靴下やハンカチ、エプロンなども置いてあるこの店。窓には『あまちゃん』のポスターが2枚貼ってある。

 そう、ここは同ドラマの脚本家・宮藤官九郎(43才・本名:俊一郎)の実家なのだ。クドカンの母・泰子さん(79才)と9才年上の姉が交代で店に立っている。

「高校卒業まで、田んぼしかねえなあとか、狭い人間関係が本当に嫌だと思った。そういう空気からなるべく遠いものを作ってきたが、この年になり、東北を自分の中で解禁してもいいかなって」

 同ドラマについてそう話していた息子に対して母の熱烈な応援は続いた。クドカンが作品を出すたびに母が地元でやっていたこと。それが「親バカ通信」だった。

「映画とかドラマとかやるときに、“こういう映画ですよ”って書いたチラシを、この辺の人に配ってくれてたんですよ」(宮藤家を知る人)

 記念すべき第1号は、2001年、薬師丸ひろ子(49才)と共演したドラマ『コウノトリなぜ紅い』(NHK)だった。泰子さんは「親バカ通信」を4年ほど綴り続けた。手書きでノートに作品名と「どうぞ見てやって下さい」と書いてコピーし、そのノートは5冊分にもなったという。

「昔はたくさん宣伝してた。あんまり宣伝すると、俊ちゃんが“やめてくれ”って怒るんだって。照れ隠しだろうけどね(笑い)」(前出・知人)

 残念ながら、『あまちゃん』はあまりに有名になりすぎてしまったために、「親バカ通信」が出ることはなかったものの、やはりわが子の活躍は誇らしいもの。母は今年、町の婦人会の旅行で同ドラマの舞台となった岩手県久慈市を訪れた。

「9月の頭に40人くらいで行ってきましたよ。片道4時間かけて日帰りでね。海女さんたちの実演を見たり、灯台まで歩いたり。まめぶも食べましたよ。とにかく観光客がいっぱいで。まあすごかったね」(婦人会のひとり)

 9月下旬、本誌記者はクドカンの実家の文房具店を訪ねた。店内に入ると、泰子さんが笑顔で迎えてくれた。笑った顔がクドカンによく似ている。

「取材は断っているのよ。息子に怒られちゃうから(笑い)」

 そう言いながらも、店のレジ奥の“クドカンコーナー”に案内してくれた。そこにはクドカンの小さい頃の写真などがたくさん貼られている。

「3年ほど前、公民館で展示されたものをもらって飾っているんです。息子には“ちょっと大きすぎる”“たいがいにしろ”なんて言われて怒られましたが(苦笑)」(以下、泰子さん)

※女性セブン2013年10月17日号

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト