1994年のシーズン開幕前、「今年は野茂と心中する」と公言した近鉄・鈴木啓示監督は、開幕投手に野茂英雄を指名。4月9日の西武球場での開幕戦で、野茂は8回まで西武打線をノーヒットに抑えた。
9回に近鉄が3点を先制。しかしその裏、先頭の清原和博が初安打を放つと、四球と失策で1死満塁。前年、18打数7安打と野茂と相性の良い伊東勤を打席に迎えると、鈴木監督はなんと野茂を諦め、赤堀元之をマウンドへ送った。
しかし伊東に逆転サヨナラ満塁弾を浴び敗北。開幕戦で早くも「心中」してもらえなかった野茂と、鈴木の確執はここから始まったとされる。
野茂はこのシーズンが終わると近鉄を退団し、翌年2月にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ。5月にはメジャーへ昇格、31年ぶり2人目の日本人メジャーリーガーとして活躍した。
※週刊ポスト2013年10月11日号