近ごろよく耳にする「体幹」だが、その定義は意外と知られていない。体幹とは何か? 鍛えることでさまざまなメリットをもたらすのはなぜ?
「読んで字のごとく、体の幹にあたる部分が体幹です。解剖学的には、人の体の上肢と下肢を除いた、頭部、胸部、腹部、腰部、背部、つまり頭と胴体の部分になります」――こう話すのは、中京大学スポーツ科学部教授の湯浅景元さん。
首、背中、胸、腹、腰のまわりを中心とした筋肉群は体幹筋と呼ばれる。インナーマッスル、コアマッスルなどといわれ、骨格を支え、姿勢を保つ役割をしている。
「平均的な大人の体では、頭の重さは約5kg、上半身は全体重の約6割をしめるといわれており、立っても座っても、この重さを体幹が支えています。ところが、体を揺らすなど、少しでも動くと重力が影響して体幹にかかる重さが増え、時には体重以上の負担がかかることもあります。下を向いて携帯を長時間見ていると肩がこるのは、実際の頭の重さ以上の力が首から肩にかけてかかってしまうからなのです。
姿勢がまっすぐであれば、余計な負担はかかりません。体幹を整えるのは、普段から必要以上の負担がかからないよう、正しい姿勢をキープする習慣を身につけるためにも大切なのです」(湯浅さん)
スポーツ選手も体幹に注目し、トレーニングに取り入れている。先日、日米4000本安打を達成したニューヨーク・ヤンキースのイチロー選手などがそう。サッカー日本代表の長友佑都選手のサポートを行っている体幹トレーニングの第一人者・KOBAトレの木場克己さんは、
「アスリートが体幹に注目するのは、故障を防ぎ、プレーをスムーズに行うことができパフォーマンス向上につながるからです」と言って、こう続ける。
「体幹がしっかりしていると、正しい姿勢を維持することができ、メリハリボディーづくりにもつながります。そのためには、基礎となる体幹筋の強化をするといいでしょう」
体幹を鍛え、美しい姿勢でいることは、自分の体をいたわることにもなるのだ。
※女性セブン2013年10月17日号