中国で嫌がらせ目的や愉快犯的に「爆弾を仕掛けた」などの偽のテロ通報をした場合、5年以上の懲役刑か、50万元(約800万円)以上の罰金刑、あるいはその両方を科すことを中国の司法当局が検討している。国営新華社電などが報じた。これは主に、旅客機の遅延を防ぐのが目的だ。
中国では今年1月から9月末現在で、電話などで「飛行機や飛行場に爆弾を仕掛けた」などとする偽テロ通報が80回もあった。とくに5月15日から18日までの4日間だけでも6回に及んだ。このため、22機の旅客機が引き返したり、目的地以外の空港に着陸、あるいは出発が遅れるなどの被害が出た。
偽通報の目的として、「恋人が街から出るのを邪魔したかった」という冗談みたいな内容もあったという。これらの偽通報によって、北京や上海などの主要空港で定刻通りの出発は30%以下、世界主要35空港のなかで最下位となっている。
6月の1か月では北空港で定刻通り出発した割合は18.3%、上海の場合は28.7%。8月の広州では18%、成都も24%にとどまっている。
コンサルティング会社の上海承樹投資管理(上海市)の試算によると、昨年の旅客機の遅延で失った潜在的な国内総生産(GDP)は352億元(約5632億円)で、これに航空会社の損害などを含めると年間500億元(約8000億円)規模の被害額となるという。
中国ではこれまで偽テロ通報には明確な罰則規定を定めていなかったが、事態を重く見た中国司法省(日本の法務省に相当)は5年以上の懲役刑、あるいは50万元(約800万円)以上の罰金刑を定めることを検討。実際に刑が定められれば、これは旅客機や空港ばかりでなく、鉄道や船の交通機関、あるいはショッピングモールなどにも適用されるという。