3.11東日本大震災の被災地、宮城県石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。今回は木村さんが、学生時代によく食べたという懐かしの石巻焼きそばについてレポートする。
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門脇地区の津波で空き地だらけになった一角に、きれいなお花畑になっているエリアがあります。これはキッチンカーで石巻焼きそばを作っている尾形勝寿さんが、少しでも街をきれいにと思って作り始め、今ではたくさんのボランティアが花を育ててくれてます。
尾形さんは、夫婦でラーメン店を営んでいたのですが、奥さんを津波で亡くしてしまいます。ところがある日、奥さん愛用のヘラが出てきて、これまたびっくり。これで再び焼きそばを焼けということなのかと、一念発起。車の手配などをして、焼きそば屋さんを始めたそうです。
石巻焼きそば、二度蒸しした茶色い麺が特徴で、それに魚系のスープと目玉焼きの半熟が絡み、独特の味を出してます。私にとっては懐かしい茶色い麺。よく学校帰りに焼きそばを食べてましたが、改めて見ると、結構茶色いんだなと妙に感心します。
尾形さんの店は「味平」といいますが、それは人気漫画『包丁人味平』から、拝借したものです。ところが、ある日、本物の原作者ビッグ錠さんがやって来て、絵を描いてくれて公認のお店となったのです。
尾形さんのお店は、大火災になった門脇小学校の近くにあり、付近は殺風景な空き地ばかりです。昔はたくさん人が住んでいた住宅地だったのに、と思うとすごく寂しいです。
尾形さんの店が、この殺風景なエリアを明るく照らす灯台なんだなと、改めて認識した次第。また戻ったら訪ねてみます。それまで街を明るく照らしててくださいね。
※女性セブン2013年10月17日号