東日本大震災から2年半、未曾有の大惨事を風化させないためにも残すべきという意見がある一方、「思い出したくない」「見るのがつらい」という被災者の声も多いのが“震災遺構”である。
保存しようとしても、巨額の保存費用が被災地にのしかかり、解体を余儀なくされる遺構も少なくない。その一例が、宮城県・気仙沼市の「第十八共徳丸」だ。
震災報道などで度々その姿を目にした気仙沼市の「第十八共徳丸」は、「遺構として残すべき」という声が大きかったものの、保存費用は4億~10億円とみられ、国の支援が見込めないことなどから既に解体作業が始まっている。解体後の土地には公園が造られる予定だ。
震災当時の傷跡を生々しく伝える遺構が、被災地から少しずつ姿を消そうとしている。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2013年10月11日号