北京の人気スパにこんな広告が貼ってあった。
「日本人の胎盤エキスで細胞治療しませんか?」
中国では、ヒトの胎盤は「老化防止効果=不老不死効果」があるとされ、昔から漢方薬などに使われてきた。近年では、美容目的で大量購入するセレブ女性たちが急増し、母親や医師による非合法な臓器売買が目立つので、国内では販売が規制されることになった。
そこで昨今、日本製の胎盤治療薬に注目が集まっている。
そのスパでは日本の胎盤治療薬大手「日本生物製剤」の注射薬『ラエンネック』が使用されていた。もともとは肝臓病の治療薬として使われるものだが、それを健康な人が、美容のために注射する。
客の女性のひとりは、「中国製は偽物も多く不安だけど、日本製なら安心。日本人女性の胎盤だから感染症の危険性もないでしょう」と、メード・イン・ジャパンに絶大なる信頼を寄せた。
このラエンネックは中国の通販サイトでも販売されていたが、医師の管理のもとでしか投与できない薬品のはず。
日本生物製剤に尋ねると、「そもそも中国では流通していない製品です。医療関係者が横流ししたものかもしれないが、偽物の可能性もあります。対応を考えていきたい」とのこと。
中国人相手に日本の薬事法を持ちだしても、もしかしたらムダかもしれないが。
※週刊ポスト2013年10月18日号