東日本大震災の復興活動が続く中、保存を巡る議論が高まっているのが“震災遺構”だ。未曾有の大惨事を風化させないためにも残すべき、という意見がある一方、保存のためには巨額の費用が被災地にのしかかることから断念せざるを得ないケースもある。
たとえば、津波襲来直前まで町民に避難を呼び掛けた職員をはじめ、42名が犠牲になった宮城県・南三陸町の防災庁舎。震災の悲惨さを伝えるモニュメントとして残そうという声もあり、遺族の意向も2つに分かれていたが、9月26日に取り壊しが決定した。解体時期などは未定だ。
震災当時の傷跡を生々しく伝える遺構が、被災地から少しずつ姿を消そうとしている。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2013年10月18日号