スポーツ

16例のみ認定のプロ野球背番号の永久欠番に明確な条件なし

 今季、楽天初優勝の立役者にして開幕23連勝の新記録をマークした田中将大に対し、背番号「18」を永久欠番に推す声が上がった。

 海の向こうではメジャーで唯一「42」を付けていたヤンキースのマリアノ・リベラが引退したことで、来季からは「42」が全球団の正真正銘の永久欠番になる。

 大リーグの「42」は、1947年に黒人として初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの背番号だった。それを記念して1997年にメジャー全球団の永久欠番に指定されたが、指定以前から42番を付けていた選手にはそのまま着用が許されていた。当時から42番を付けていた選手のなかの最後のひとり、リベラの引退によって、「42」は本物の永久欠番になったのだ。

 今季は「永久欠番」という言葉が日米で何度も聞かれた年だった。

 世界で初めて永久欠番となったのは誰の番号であるかご存じだろうか。1925~1939年にかけて、連続2130試合出場を記録。“アイアン・ホース(鉄の馬)”の異名を持ち、ベーブ・ルースと並んでヤンキース最強の黄金時代を支えた、ルー・ゲーリッグの背番号「4」である。

 彼は不治の病「筋委縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)」に冒され、1939年に引退を余儀なくされる。同年、最年少で殿堂入りが認められ、同時に、“亡くなってもチームに居続けられるように”と背番号が永久欠番となった。ゲーリッグはその後37歳で夭逝した。

 日本でもこれにならい、巨人が1947年に沢村栄治、黒沢俊夫の2選手を顕彰して、それぞれの背番号「14」と「4」を欠番に設定した。

 沢村は戦前に来日したメジャー選抜チームとの試合に登板。ゲーリッグに打たれた本塁打の1失点だけに抑える9奪三振の快投を演じ、16戦全敗の中でひとり気を吐いたことで知られる。日本プロ野球が発足した1936年には、史上初となるノーヒット・ノーランを達成するなど活躍したが、1944年12月に戦地へ向かう東シナ海沖で戦死した。

 一方の黒沢は、1936年名古屋金鯱軍に入団。その後大洋、西鉄と渡り歩き、1946年までの3シーズンを巨人の主軸打者としてチームに貢献したが、1947年に腸チフスのため病没した。突然の訃報にショックを受けた巨人の選手たちが、黒沢の功績を讃えるべきと主張。当時の永久欠番は、ゲーリッグと同じく“悲業の死”が誕生させたイメージが強い。

 この2人をはじめ、日本プロ野球で永久欠番と認定されているのは、わずか16例のみ。時代の流れとともに存命者にも贈与されるようになったが、明確な条件はない。阪神で球団社長を務めた野崎勝義氏が語る。

「ある一定の貢献があった選手が引退する場合に、背番号の扱いをどうしようかという議論になるのですが、基準は決まっていません。ただし、ファンからも納得してもらわなくてはならないので、必然的に生え抜き選手が優先されることになります」

 選手から推される者、オーナーの鶴の一声で決まる者と事情は様々。

※週刊ポスト2013年10月18日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン