6年ぶりの最下位脱出を果たした横浜DeNAベイスターズ。中畑清監督の続投も決まり、来季は初のクライマックスシリーズ進出、そして優勝が期待される。今季は総得点でリーグ1位を記録したが、その打線のなかで、もっとも成長した選手といえば、梶谷隆幸(25)だろう。
中畑監督には就任当初から期待され、昨年のオープン戦では盗塁王に輝く。そのままシーズンでもブレイクするかと思われたが、80試合出場で、打率1割7分8厘、2本塁打、5盗塁に終わり、思うような成績はあげられず。今季に入っても、セカンドベースカバーに入り忘れたり、三塁走者がいるのに二塁から三塁へタッチアップを試みたりと、ボーンヘッドが目立った。
しかし、8月に入ると、突如として打撃開眼し、月間打率3割9分8厘と脅威的な数字を残し、月間得点31は球団新記録を達成した。さらに、シーズン終盤に向けて、梶谷には精神的な強さも見受けられるようになってきた。わかりやすい例が、エラー後の打撃成績だ。
今季の梶谷は10失策。ショートという打球を多く処理しなければならないポジションだけに、ある程度の失策はベンチも覚悟の上だろう。とはいえ、エラーをした後は誰しも気持ちが落ち込むもの。次の打席で取り返せというのは簡単だが、実行するのは簡単なことではない。
今季、8月8日の巨人戦で初失策。9月3日の阪神戦までに5つの失策を記録する。その試合のエラー後の打撃成績を見ると、9打数1安打、打率1割1分1厘と明らかに精彩を欠いていた。だが、その後は、エラーを挽回する打撃を見せるようになった。9月22日の中日戦から10月5日の中日戦までに5つの失策を記録したが、その間の試合のエラー後の打撃成績は、17打数8安打、打率4割7分1厘。
特に、9月26日の阪神戦は圧巻だった。2点をリードした1回裏にエラーし、同点のキッカケを与えてしまう。その後、阪神は3回に西岡剛の本塁打などで逆転。梶谷にとっては、嫌な流れだった。
しかし、その流れをみずから断ち切る。6回に追撃のソロアーチ。続くブランコの本塁打で同点とした後、8回には、阪神の新鋭・松田遼馬から勝ち越し本塁打。初回のエラーを帳消しにして、お釣りが出るほどの活躍を見せた。
規定打席不足ながら、打率は3割4分を超え、8月以降だけで15本塁打を放った梶谷。他チームも研究を重ねて来るだろうが、その包囲網もかいくぐって、来季はシーズン通して爆発し続けるか。