男児が目をくりぬかれる事件が発生するなど、中国では近年、女性による犯罪が後を絶たない。数も種類も増え続ける「中国女の犯罪」をジャーナリスト・向坂公輔氏が追った。
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中国全土をカバーする犯罪統計は存在しないが、地方の裁判所や検察などが発表する犯罪関連のデータが新聞などに掲載されることがある。そうしたデータを追い掛けていくと、中国における女性犯罪が年々増加してきたことが見えてくる。
たとえば2012年3月の『南方日報』は、香港に隣接する深セン市の人民検察院がまとめた統計データを掲載している。それによると2006年には約1400人だった女性犯罪者が2011年には約2200人と1.5倍に増加していた。犯罪者のうち女性が占める割合も増え続けており、他の地域の統計も同様だ。
個別の事件を詳しく見てみよう。
■夫の愛人を車ごと焼殺
浙江省では今年3月、夫の浮気に逆上した妻が若い愛人を焼き殺す事件が起きた。浮気を知った40歳の妻は夫の車にこっそりGPS発信機を仕掛ける。愛人との密会場所であるホテル前に停められた車を発見すると、妻はスペアキーを使って車に忍び込み、後部座席で息を潜めて夫と愛人の戻りを待った。
愛人が先に戻ってきて助手席に乗り込んだ瞬間、妻は用意していたガソリンを撒き、点火して逃げたのだ。高級外車はたちまち炎上、放火殺人犯となった妻は事件後まもなく自首した。
■「チン切り」ならぬ「タマ切り」妻
今年8月、江蘇省に住む38歳の男性が妻に睾丸を切り取られた。この夫婦には5歳と3歳の子供がいたが、結婚して10年も経つのに夫の給料は一向に上がらず、いつまでもマイホーム購入が実現しそうになかった。妻は「家を買うまでは年に1度しか一緒に寝ない」と宣言するなど、夫に辛くあたっていて、夫婦喧嘩も絶えなかった。そしてついに夫の股間にカミソリの刃を向けたというのだ。
中国の賃貸契約では借り主の立場が非常に弱い。家主から突然退去を求められたり、一方的に家賃の値上げを通告されたりすることが往々にしてある。睾丸を切り取った妻の肩を持つわけではないが、不安定な賃貸住宅生活から抜け出したいと強く願う中国人は多い。
幸い男性の命には別状はなかったものの、睾丸の再接合はできず今後は常に男性ホルモンを補充しなくてはならなくなった。一家がマイホームからさらに遠のいたことは間違いないだろう。
■男の局部を握り潰してショック死させた女
海南省で2012年4月、子供を迎えに行く途中で電動自転車を商店の前に停めた女性と「商売の邪魔になる」と怒った男性店主との間で喧嘩が起きた。女性は男性の睾丸を強く握りながら、「握り潰してやる、子供ができないようにしてやる」と叫んだという。男性は激痛によるショックで倒れ、救急処置を受けたが死亡した。
※SAPIO2013年11月号