「トルコ」と聞くと親日国をイメージする人も多いはず。先だっても、東京がオリンピック開催地として選ばれるや、ライバルだったにも関わらず、「おめでとう東京!」というツイートが多くのトルコ人から惜しみなく送られた。
しかし、「トルコは親日だから安心」などと思っていると、足元をすくわれかねない。世界遺産・カッパドキアで新潟大学の女子大生が殺傷されたことが記憶に新しい。それ以前に、親日であろうとかなろうと、大都市はそういう感情以上に“拝金”が絶対的に強い。
トルコ最大の都市・イスタンブールはその典型で、異常に高い絨毯を買わせようとしたり、言葉巧みに法外なオプショナルツアーを勧めてくる詐欺まがいの行為は日常茶飯事となっている。
なかでも特に気をつけてほしいのが、「ぼったくり被害」。近年、イスタンブールで最も猛威をふるっている犯罪で、旅慣れした人ですら被害に遭うケースも珍しくない。
さまざまなケースがあり、一筋縄ではいかないところも横行している原因。例えば、観光名所や旧市街地で日本語や英語を駆使して近づき、親切に対応してくれるような輩は要注意だ。
彼らは我々日本人が、「トルコは親日国」という、できあがってしまった先入観があることを知っている。そこに付け入り、良い人を演じ、「一杯だけでも飲みに行かないか?」などと誘ってくるわけだ。事実、彼らは道を教えてくれたり、いろいろと親身になって一緒に考えたり、役に立ってくれる。情にほだされて、「ま、一杯くらいいいか」と気軽に応じると、ぼったくりバーに連れていかれて、日本円にして約30万円を請求されるなどの“地獄”が待っている可能性が。
またタクシーに乗ったところ、法外なぼったくり被害に遭うケースも散見されている。事前にキチンと交渉したにも関わらず、1万2万円という金額を請求し、支払いを拒否すると、そのまま怖い人がいるお店に連れて行きグループで囲って脅してきたりもする。このような場合は、適正金額を運転手に渡し、さっさと降りてしまえばいいのだが、車内という密室を利用し、簡単に降りられないように先手を打たれていたりもする。
そして、イスタンブールではトルコ人だけでなく外国人も上記のような犯罪の手助けをすることも往々にしてあるので注意してほしい。「俺も外国から来た旅行者だよ」などと言って安心させ(このような言葉を言ってくる輩は本当に多い!)、仲良くなった頃合いを見計らって甘い誘惑をすすめてくる。
海外国籍を自称するも、フタを開けるとトルコ国籍だったりすることも少なくないのだが、パッと見は何人だか分からないのもややこしい。ヨーロッパとアジアの中間にあり、古くから人やモノの交易点となったイスタンブールならでは、飛び道具的殺し文句と言ったところだ。
さらには、ぼったくり被害や詐欺まがいの行為をしてくる共犯のなかには、日本人もいるというのだから油断大敵。「日本人なら大丈夫」。そんな観念すら通用しないのが、大都市・イスタンブールの落とし穴。カッパドキアなどの一大観光地も同様に注意が必要なので気を付けてほしい。お金が落ちるところは、親日という色眼鏡を外すことが大切だ。