9月27日から10月8日までの12日間にわたる中国の国慶節(建国記念日)長期休暇期間中、中国人民解放軍や武装警察部隊、公安(警察)部隊が休暇を取り消され、非常厳戒態勢を敷いていたことが明らかになった。昨年のような反日デモや国慶節を狙ったテロ事件を警戒したためで、この間、北京や上海のような大都市のほか、少数民族の暴動が絶えない新疆ウイグル自治区やチベット自治区などの38都市はピリピリした雰囲気に包まれていたのだ。
香港誌「争鳴」によると、中国政府と中央軍事委員会は9月14日早朝、軍や武警、公安部隊に9月17日早朝から厳戒態勢をとるよう指示し、休暇取り消しを命じた。これに先立つ13日、中国共産党中央委員会や軍事委、政府は国慶節の休暇中に、汚職で私腹を肥やした腐敗官僚らが海外旅行を装って、大金を隠し持って海外に逃亡するケースに目を光らせることなども指示した。
さらに、北京や上海などの大都市圏では地方の観光客が殺到するため、貧富の格差などの不満を抱いた住民が混雑した場所に爆弾を仕掛けるなどのテロ事件には十分気をつけるように通告していた。
とりわけ、党中央が危惧していたのが、新疆ウイグル自治区やチベット自治区での民族暴動の発生だった。新疆では昨年からこれまでにかけてウイグル族などの少数民族の市民が漢族の住民を襲う暴力事件が続発。最近では「テロリストが来た」「食べ物に毒物が混入された」などとのデマもインターネットに書き込まれ、7月の半月間で800件72人が摘発されている。
チベット自治区でもチベット仏教僧やチベット族市民らによる小規模なデモや集会が開かれ、軍や武警部隊が出動するケースが相次いでいる。また、ダライ・ラマの帰還などを求める焼身自殺も120人に及んでおり、大半が死亡している。
また10月初旬には中国国旗の掲揚を拒否して拘束されたチベット人男性の解放を求める住民に対して、治安部隊が発砲し、60人以上が負傷したと伝えられている。
このため、軍や武警などは北京などの4直轄市や各省の大都市圏、新疆やチベットの主要都市など計38都市に非常厳戒態勢を敷き、警戒を強めていたという。
これについて、北京の知識人は「国慶節の休暇中は結局、何ごともなかったが、中国は不満を持つ民衆の暴動が何かのきっかけですぐに発生する可能性があり、いずれにせよ、一触即発の状態であることは間違いない」と指摘する。