いま、グルメな人の間でとにかく話題なのがポップコーンだ。素材が贅沢で調理工程も凝っていて何十種類もの味が用意されるなど、お祭りやバザーで配られる従来のポップコーンとはまったく違うものだ。友人からプレゼントされて食べて以来、お店へ行ったり、通販で取り寄せたりといろいろ食べ比べるようになった20代女性は言う。
「最初は、いくらキレイにラッピングしてあってもポップコーンでしょう? とあまり期待していなかったんですが、食べてびっくり。普通のポップコーンじゃなかった。ジャンクフードじゃなくて、ちゃんとしたお菓子でした。それ以来、お店や通販で定期的に入手するだけじゃなく、高級スーパーで輸入のポップコーンをみると衝動買いしちゃいます」
オリーブオイルにこだわるパロミータスや、エアポップコーンのヒルバレーなど、日本産のグルメなポップコーン店の評判がじわじわ広がり始めた後、今年2月にシカゴの人気店ギャレット・ポップコーン・ショップスが原宿に、9月にはシアトルのククルザポップコーンが表参道にオープンした。どちらも順番待ちの長い列ができ、味も定番の塩味やキャラメルだけでなく、トリュフなど高級素材を用いたものもある。
じわじわとポップコーン熱が上がり始めた日本へ、アメリカの人気店が出店したことでブームが本格化した。仕事で頻繁に米国を訪れる40代女性によれば、アメリカでのブームは、日本と少し雰囲気が違うという。
「全粒を使用する食べ物は体に良いから、トウモロコシの粒を丸ごと使うポップコーンは食物繊維も豊富でヘルシーな食べ物だとアメリカの人たちは考えています。素材をオーガニックなものに限るような、こだわりのポップコーンが人気です。量のわりにカロリーが低いので、マドンナがダイエットに利用したこともあると伝えられています。今では、大人向けのパーティメニューにも登場するようになりました」
アメリカのセレブたちのあいだで「健康に良い」「オシャレ」と評判がたち、人気に火がついたポップコーン。今年の春に開催されたオバマ大統領が出席した民主党のパーティでも振舞われたというから、もう遊園地や映画館での暇つぶしの食べ物のひとつという位置づけにはおさまらないのだろう。
欧米人の利用率が高いといわれる画像SNSのPinterestでpopcornを検索すると、驚くほど様々なポップコーンの画像が並ぶ。カクテルグラスや小さいボウルに美しく盛りつけられたポップコーンだけのビュッフェや、パーティで持ち歩きやすいよう固めてスティックが添えられるなど、いろどりも様々な写真とそのレシピがあわせて公開されている。
ポップコーンブームはアメリカや日本だけではない。ツアーコンダクターの30代女性は手軽で美味しい台湾のポップコーンも日本へ進出してほしいと言う。
「台湾でも数年前からポップコーンブーム。Planet PopやMogoなどが有名です。軽くて便利だからとお土産用に買ったのが最初でしたが、今では自分が食べたくて買うことも多いです。味も定番以外に日本風抹茶、インドカレー味の種類が豊富で、パッケージもかわいい。欧米のセレブ向けもいいけれど、アジアのフレンドリーなポップコーンも日本で手軽に食べられるといいのに」
日本のポップコーンブームは、まだまだこれからだ。