ふと、なんとなくテレビをつけると、必ずマツコ・デラックス(40才)が出ている──そんな光景が定着して数年が経つ。最初はよくいる「色物」で、そのうちいなくなると思われていた節もあるが、マツコは違った。
現在出演するレギュラー番組は、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)や『5時に夢中!』(TOKYO MX)、『ホンマでっか!?TV』、『アウト×デラックス』(いずれもフジテレビ系)など計7本。うち、2本は自分の名を冠した冠番組。これまで冠番組を持ったおネエは、ごくわずかしかいない。『ホンマでっか!?TV』総合演出の木村剛さんは、マツコの凄さをこう話す。
「毎回、『ストレス』や『ダイエット』といった大きなテーマは伝えますが、細かい打ち合わせはしません。カンペ(出演者への指示が書かれた用紙)もマツコさんには一切出しませんし、安心しておまかせしています。なんといっても、マツコさんの凄さは、テレビで一喝できるところです。怒っても視聴者に嫌がられない人は大抵、年齢を重ねたかたですが、マツコさんは特別な存在です」
そんなマツコの最大の魅力が「マツコ語録」と呼ばれる大胆な発言。最近のものから紹介すると──。
パンケーキブームとその行列店について、「ホットケーキに並ぶとか(信じられない)。だって、ホットケーキだよ。どんなにうまくたって、ホットケーキだよ」と一喝。
また、今年流行しているひざ上丈の短パンをはく男性についても、バッサリこう切った。
「あれもう気持ち悪いんだけど! もうなんなの、本当に! 流行ってるからって何でも着んじゃねえよ!」
言われてみれば確かに!とうなずいてしまう発言のオンパレード。好きなコメンテーターランキング(オリコン調べ)では、池上彰さん(63才)に続いて2位に輝いている。そんなマツコ語録の魅力を、作家でコラムニストの亀和田武さんはこう分析する。
「見事に物事の本質を見抜いていて、自分の芯をしっかり持っている。その場の空気や時代の風潮に迎合しません。また、得てして、鋭い発言はあまりいい印象を普通は与えないんですが、マツコさんは、巨躯がその印象を緩和させるんです。だから、視聴者は好意的に受け取れる」
すでにマツコと知り合って7年経つという『ホンマでっか!?TV』、『アウト×デラックス』のプロデューサー亀高美智子さんは、マツコの魅力をこう話す。
「売れてなかった頃も、売れてる今でも、ずっと素直なんです。今のテレビ業界で、素直さを画面に出せる数少ない人物。その素直さが視聴者から共感を得られるのだと思います」
※女性セブン2013年10月24・31日号