日本が誇る国民的ファストフードといえば「牛丼」。いつ食べても同じ美味しさを提供するといわれているものの、店舗の鍋で煮ているからには味に変化があるはず。もっとも美味しく味わえる狙い目の時間帯はいつなのか、迫った。
牛丼の味の決め手となるのがタレだ。吉野家では、工場から出荷されたタレを毎日注ぎ足して使い、深みのある味わいを出している。1日に数度はあく抜きのためタレを漉(こ)す作業もある。すき家では、タレに漬けて肉を煮る時間は1時間以内と制限されている。このようにタレの品質管理は徹底されているが、
「個人的な感想ですが、各社とも店舗や店員、時間帯によってタレの濃淡がある。一般的に回転率の悪い店舗では煮置きで濃度が高くなるため、概して味付けが濃厚になりやすい。逆に繁盛店は煮込みの時間が短くなりがちなので、あっさりした味になりやすいようです」(大衆食文化に詳しいライターの松浦達也氏)
最も美味しい牛丼が食べられる時間帯は客数が把握しやすいランチタイムだという。混雑時を見越した仕込みが可能で、ベストコンディションの牛丼が提供される可能性が高い。
牛丼のウリのひとつは「早さ」だ。すき家ではオーダーから提供まで10秒という目標を掲げている。秘訣は並盛、中盛、大盛などメニューごとにサイズの異なる「オタマ」だ。これにより、スピーディーかつ適量の盛り付けができる。
スタッフの動きも厳しく定められ、「歩く時は1秒に2歩以上」、「腕を使う作業は肘から下だけ動かす」などと緩慢な動作を排する工夫がされているという(すき家広報はノーコメント)。
※SAPIO2013年11月号