iPhone発売をきっかけにNTTドコモはどう変わるのか。ジャーナリスト・須田慎一郎氏が解説する。
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とうとうNTTドコモがiPhoneの取り扱いを開始した。ドコモ社内からは「遅すぎた」との声も多く聞かれるものの期待感は大きい。
「旧電電公社時代のお役所体質が抜けていないことがドコモの凋落を招いた。しかし、今回をきっかけに変わるかもしれない。iPhone5sが発売された『9・20』という日は旧電電公社時代から続いてきた“電電ファミリー体制”が崩壊した日と位置づけられるだろう」(ドコモ若手幹部)
旧電電公社には「電電御三家」や「電電ファミリー」と称される親密企業グループが存在した。電電御三家とは富士通、NEC(日本電気)、沖電気工業(OKI)の大手電機メーカー三社を指す。
「旧電電公社は、電話機や通信回線などをもっぱら親密企業から調達し、蜜月関係を築いてきた。当然、高コスト体質を招いたが、独占企業であったがゆえに利用者に負担を押しつけて、電電グループは大きな利益をあげてきた」(前出の若手幹部)
そうした蜜月関係は旧電電公社の分割・民営化後も続いた。
「富士通やNECが携帯電話の製造に参入したのはファミリー企業だから。また『ガラパゴス化』が進みiPhoneの導入が遅れたのはドコモ側がそうしたファミリー企業との関係を重視したからだ」(前出同)
しかしファミリー企業重視という経営スタイルは今回のiPhone導入で完全に終焉を迎えた。
大きな方針転換があれば、当然、誰かが責任を取る(取らされる)のが巨大組織の常だ。社内で注目を集めているのは今後の人事である。
「契約者の大量流出の責任も誰もとっていない。ファミリー企業重視路線を捨てたこととあわせ、責任を取らない体質を捨てなければ復活は難しい。上層部もそれはわかっているから、今度こそ大ナタが振るわれるかもしれない」(前出・若手幹部)
NTTドコモは変われるのだろうか。
※SAPIO2013年11月号