「じぇじぇじぇ!」が流行し、高視聴率を記録するほど盛り上がった朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。いったいこれまでとは何が違ったのか、そしてこれからのドラマにどんな影響を与えるのだろう。コラムニストの亀和田武さんと今井舞さんが語る。
亀和田:『あまちゃん』では、被災地に太巻(古田新太)がチャリティーをしに行ったとき「うん、偽善だけどね」というセリフがあって。民放のドラマだったら即刻消されるよね。
今井:クドカンだからという信頼度の高さでしょうか。あまちゃんでは、昔のNHKを腐すような発言もあったけど、今回はそんなタブーを乗り越えて作ったら、これだけ面白いものができるという根拠になった気がします。
最近のドラマは喫煙シーンやラブシーンはほとんどカットされますが、何を怖がっているんだろう。制作側が自分で判断して流せばいいじゃんって。
亀和田:あまちゃんに「Bz’の稲葉」「海援隊」「橋幸夫」といった固有名詞が出てくる点も新鮮。
今井:普通の人の会話ってそういう話がぽんぽん出てくるのにね。あとラブシーン。性愛の描写がないと恋愛になんの信憑性もないし、リアリティーがない。
亀和田:昔の俳優さんの話を聞くと「あの人は舌を入れてきて大変だった」とかそういう話もよく聞くのにね。
今井:ラブシーンを恐れないでほしいんですよね。
亀和田:“ラブシーンを恐れないでほしい”、名言だね。今回は春にあまちゃんが出てきて、高視聴率ドラマの範疇を超えた“現象”にまでなったじゃない。そしたら次に『半沢直樹』。朝ドラと日曜ゴールデンという極端なところにテレビ史に残る作品が2本も出た。
今井:ドラマは冬の時代が続いていたけれど、今年はターニングポイントの年じゃないかなって思うんですよ。
亀和田:そう、1本じゃなくて2本。しかも全然テイストの違う作品だったというところに意味があるよね。
今井:最近テレビから離れている三谷幸喜あたりも、今ごろ始動していると思いますよ。「これがOKなら、おれにもやらせてくれよ」って。
※女性セブン2013年10月24・31日号