プロ野球のCS(クライマックスシリーズ)や日本シリーズでは、期待以上の成績を残す「シリーズ男」が現れる一方、“戦犯”として敗北の責任を背負われるの「逆シリーズ男」も出現する。今シーズンの「逆シリーズ男」候補は誰なのか? 『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)の著者・広尾晃氏は、こう語る。
「データから今季の逆シリーズ男を割り出す場合、まずはペナントシーズン終盤の成績を考慮すべきです。というのもシリーズ前、スポーツ紙には今季の成績が掲載されますが、通算で3割を打っているからといって、シリーズでも打つことができるとは限らない。疲れが出たり、調子を崩して打てない選手も必ず出てくるからです」
本稿締め切り時点では、どのチームがCSを勝ち抜くか決まっていないため、プレーオフに進出した各6球団のエースと、正捕手の今季成績、並びに9月1か月と10月前半の約40日での調子の浮沈を示した。△は好調で、▼は下降気味、つまり「データが示した逆シリーズ男」候補となる。
(左から今シーズンの登板数、勝敗、防御率/9・10月の勝敗、防御率、調子の浮沈)
内海哲也(巨人) 24試合 13勝6敗 3.28/2勝1敗 4.61 ▼
メッセンジャー(阪神) 30試合 12勝8敗 2.89/1勝1敗 1.37 △
前田健太(広島) 26試合 15勝7敗 2.10/4勝2敗 2.37
田中将大(楽天) 27試合 23勝 1S 1.27/0勝1S 1.64 △
野上亮磨(西武) 30試合 11勝7敗 3.95/3勝3敗 5.26 ▼
唐川侑己(ロッテ) 27試合 9勝11敗 4.18/1勝3敗 4.75 ▼
(※10月7日終了時点)
投手はハッキリとした傾向が出た。まずはパ・リーグ。最後まで激戦を繰り広げた西武、ロッテともにエースが不調傾向にあるのは不安材料である。田中は、負け無しだったので、当然データ上では上昇傾向にある。しかし、防御率の悪化が気になるところだ。そういえば、優勝決定の瞬間は一打サヨナラのピンチを迎えるなど、後半はヒヤヒヤの場面が多かった。
セ・リーグだが、こちらは内海哲也の不調が目立つ。巨人は早くに優勝が決まっていたせいか、実は調子が上がっていない投手が多い。紙幅の都合で割愛したが、杉内俊哉や宮國椋丞も調子は下降気味だ。
続いては捕手のデータだ。
(左から今シーズンの打率、HR、打点/9・10月の打率、HR、打点、調子の浮沈)
阿部慎之助(巨人) .298 32本 91打点/.228 2本 6打点
藤井彰人(阪神) .260 1本 24打点/.238 0本 1打点
石原慶幸(広島) .248 7本 35打点/.197 2本 14打点 ▼
嶋基宏(楽天) .258 4本 47打点/.225 1本 9打点
炭谷銀仁朗(西武) .210 5本 43打点/.217 0本 9打点
里崎智也(ロッテ).229 3本 17打点/.171 1本 2打点 ▼
(※10月7日終了時点)
広島、ロッテというセ・パの3位チームの捕手が不調。最後の最後までCSの順位争いを繰り広げた結果、すでに燃え尽きてしまった可能性もある。また、他の4人も目立った下降線こそ描いていないものの、打率は通算に比べて下がってきているのが心配なところだ。
※週刊ポスト2013年10月25日号