芸能

永六輔氏 車いすダンスで2020年東京パラリンピック出場計画

 2010年、パーキンソン病と前立腺がんであることを公表し、治療とリハビリを続けながら現在も活動を続けている永六輔氏(80)を、吉田豪氏(プロインタビュアー)が深掘りインタビュー。オリンピック反対の立場をとる永氏だが……。

──いまや数少ないオリンピック反対派ですもんね。

永:うん。ただ、いまからする話は半分嘘です。って言うのもあれだけど(笑)。松島トモ子さんに「来週トークショーのステージをやるから手伝ってほしい」って言われて、何を手伝うのかと思ったら、車いすダンスを踊りたいって言うんですね。僕は、車いすには乗ってるけどダンスはできない。でも「大丈夫だから付き合ってほしい」って言うので、昨日スタジオに行って。

──練習したんですか!

永:練習したの。

──踊れそうなんですか?

永:練習して絶望的になってるんだよな(笑)。それからもうひとつ大事なことは、パラリンピックですよね。車いすダンスっていうのは、もうひと押しで種目に入れる段階で、いま入ってないんですって。だから、もし入れたらば、僕と松島トモ子さんが組んで、そこに参加するの。

──7年後に向けて!

永:パラリンピックに出るという、思いもよらないとんでもない話になって。

──オリンピックには反対してたけど出る羽目になるかもしれない、と(笑)。

永:そういうのって、面白いでしょ。みんなに笑われるだろうと思うけど。80歳過ぎて参加できるなんて、ほかの競技にないわけです。で、そのへんをラジオで味方をつければいいので。

──なるほど、世論をうまいこと誘導して(笑)。

永:前に僕は尺貫法復権運動(*注)を、ラジオを使ってやったでしょ。それと同じように、ラジオで語りかけて、永六輔をパラリンピックに出す運動っていうのをやりません?

【*注】長さを尺、重さを貫で表わす尺貫法がメートル法の施行以来、禁止されたことに異を唱え、1976年からTBSラジオ『誰かとどこかで』を中心に復権運動を展開。結果として、尺貫法の使用が容認されることになった。

──永さんが7年後も元気でいられるのならいくらでも乗ります!

永:ちょっとだけ希望があるのは、トモ子さんは車いすダンスのワールドカップで優勝してるんですよ。彼女は元スターだから、還暦まで電車に乗ったことがないの。そういうスターは、昔、いっぱいいたの。坂本九にしても、ものを買うっていうのができなかったね。これを買ってきてって言うと、どうしたらいいのかわからないの。小さいときから周りが全部やっちゃうから。

 だから、僕をパラリンピックに出そうとするのは、元スターの発想なんですよ。相手のことなんか全然考えてないの(笑)。そこが面白い。いろんな人がいてホント面白いですね。

■永六輔(えい・ろくすけ)1933年、東京・浅草出身。中学時代にNHKラジオ『日曜娯楽版』へ投稿を開始。早稲田大学在学中より本格的に放送の世界に関わる。以後、放送番組の作家、作詞家、語り手、歌手、文筆家として幅広く活躍。2010年、パーキンソン病と前立腺がんであることを公表し、治療とリハビリを続けながら現在も活動を続けている。

※週刊ポスト2013年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン