タレント・みのもんたの次男が、窃盗容疑で逮捕され、勤務先の日本テレビを解雇された。この事件によって、みのの2人の息子がいずれもテレビ局に就職していたことがコネ入社ではないかと問題視され、世間からはバッシングの嵐が浴びせられた。
テレビ業界を眺めれば、みのもんた次男事件はあくまで氷山の一角である。「あのミュージシャンの息子」「あの大物俳優の娘」などと名指しされる有名人の子息はテレビ業界のコネ採用の中ではごく一部で、スポンサー企業の幹部や、政治家、大手芸能プロダクションの幹部の子息がこっそり入社しているというケースのほうがずっと多い。
某キー局のベテラン社員がいう。
「ウチの局でも、音事協で強い発言権を持つ芸能プロダクションのトップの子供が入社したばかりです。まァ、テレビの歴史はコネ入社の歴史といってもいい。放送メディアは黎明期から、政治家や官僚の子弟を多く受け入れてきた。全国を網羅する放送ネットワークを完成させるため、電波行政との関係を緊密にする必要があったからです。
あとはスポンサー対策。フジテレビは、視聴率が4番手に落ちた今も広告料が他の局より高いことで有名ですが、業界内では“過去の蓄積だけじゃなく、スポンサー関係から多く縁故採用を受け入れていることもその理由だろう”というのが定説です」
テレビ局よりもっと露骨なのが広告代理店だ。この業界では「石を投げればコネに当たる」とまでいわれる。
「某大手にはキー局の名物オーナーの息子もいますし、スポンサー採用も多い。感覚としては、3割強に何らかのコネがあるんじゃないかというところ。ただし広告業界では“コネ採用は営業活動の一環”という認識がある。子供を“人質”にとることで安定した広告のオファーが見込めるためです」(広告代理店関係者)
※週刊ポスト2013年10月25日号