日本では政界、官界、財界のトップ人事から、これから本格化する学生の就職活動戦線まで、日本社会ではあらゆる場面に「コネ」という“見えざる力”が働いている。コネはもはや、日本社会のシステムに当然のように組み込まれている。就職活動に苦しむ若者、またその親であれば不平等への怒りを感じざるを得ない。
しかし一方で、人事関係者の中には「コネ採用は得意先との関係を良好にするためだけでなく、優秀な人材を獲得するための有効な手段」だと断言する者も多い。ある地方テレビ局の幹部が明かす。
「もちろん親のスネをかじることに麻痺してしまったダメなコネ社員もいるが、一方で縁故のある社員に優秀な人が多いことも事実です。恵まれた環境で質の高い教育を受け、いろんな世界を経験していることが大きい。
ウチの社長は、系列新聞の幹部の息子だったが、ジャーナリズム感覚に優れ、並み居る優秀な“コネなし社員”に出世レースで打ち勝った。また身元がわかっていることで会社側は安心して採用できるし、問題を起こすことも少ない。みのもんた事件はレアケースですよ」
※週刊ポスト2013年10月25日号