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高齢者の大腿骨近位部骨折 骨折から1年後の死亡率高い傾向

 骨折は高齢者にとって命取りといわれている。高齢者に特に多い大腿骨近位部骨折について、研究された論文の結果をメタ解析という方法で分析した報告がある。それによると、骨折から1年後の死亡率は骨折しなかった人に比べ、男性で3.7倍、女性で2.9倍に達していた。

 膵臓のβ(ベータ)細胞が死滅してインスリンを産生できなくなる1型糖尿病は、以前から骨粗鬆症の原因疾患として知られている。インスリンの不足は血糖値を上げるだけでなく、骨を作る働きを阻害するため、骨量の減少が促進される。その結果、骨粗鬆症になり骨折が増える。ここにきて、生活習慣病の一つである2型糖尿病も骨折と関係していることがわかってきた。

 国家公務員共済組合連合会虎の門病院内分泌センター竹内靖博部長に話を聞いた。

「糖尿病患者が高齢化するにつれて、骨折頻度が高まります。高齢者の骨折は骨粗鬆症が原因の場合が多いのですが、糖尿病はそうでない人と比べて、必ずしも骨密度が低いわけではありません。それにもかかわらず、骨折頻度が高いのは骨量が少ないだけではなく、糖尿病のために骨の質が劣化して骨強度が低下したことが原因と考えられます」

 糖尿病は発症からの期間と血糖値が重要で、血糖値が高い期間が長くなればなるほど骨折リスクが上がる。30年にわたるコホート(疫学的調査)研究によると、スタート時点で糖尿病だった人とそうでなかった人では、糖尿病だった人の骨折頻度は高く、しかもヘモグロビンA1cの値が7.5%以上ではそれ以下の人に比べて骨折リスクが上がっているという結果がでている。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2013年10月25日号

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