中国では近年、女性による犯罪が後を絶たない。
太古の昔を振り返れば、『史書』にも「呂太后は戚夫人の両手両足を切り落とし、目玉をくり抜いたうえで便所に置いて人豚と呼ばせた」との記述がある。史実かどうかは議論の分かれるところだが、女性による人体切断や眼球摘出は中国では決して馴染みのない話ではないのだ。
今回、現地で女性犯罪について取材していると「日本人のほうがよっぽど残酷じゃないか」という意見を多く聞かされた。「南京事件」などを引き合いに出したお決まりの日本批判かと思いきや、もっと最近の事例があるという。複数の中国人が実例として挙げたのが、中国版ツイッター「微博」で拡散されている「愛情湯事件」(「湯」は中国語で「スープ」の意)。
内容は〈日本の若い女性が浮気した彼氏を恨んで殺し、内臓を煮込んで食べた。さらに浮気相手の女性を捕まえて生きたまま目を潰し、唇と片方の乳房をハサミで切ったのちに硫酸で殺害〉というもの。その“ニュース”を取り上げたサイトではご丁寧に生肉が入った冷蔵庫の前にいる若い女性の写真まで添えられている。
もちろん根も葉もないデマだが、日本人には到底創作できない内容である。そんなストーリーを容易に思いつくほど、中国では女性の凶悪犯罪が日常的になっている。
■文・向坂公輔(ジャーナリスト)
※SAPIO2013年11月号