“幕末のジャンヌ・ダルク”と言われ、スペンサー銃と刀を片手に奮戦していた新島八重。綾瀬はるか主演で、NHK大河ドラマにもなってしまうほどの大人物だけど、幕末を駆け抜けた女傑は彼女以外にもたくさんいるんです!
まずは、村山たか(1809~1876)。大老・井伊直弼の愛人にして、安政の大獄の際には、芸妓の経歴を活かし倒幕派の情報を引き出す女性工作員として暗躍。53歳のとき、井伊が暗殺される桜田門外の変が起こるや、加担の罪で三条河原に三日三晩“生きさらし”に! 辛酸を知り尽くし、その後出家するという壮絶な人生を歩んでいる。
次に大浦慶(1828~1884)。日本茶輸出貿易の先駆者であり、楠本イネ、道永栄と並ぶ「長崎三女傑」の一人にして、儲けた金で龍馬率いる亀山社中の世話をしていたゴッドマザー! 維新後は詐欺被害に遭い三千両(約3億円相当)の借金を抱えてしまうものの、死ぬまでに完全返済したというから驚き!
高場乱(1831~1891)もすごい人物。医者である厳格な父に男子として育てられ、10歳で福岡藩から正式に元服を男性として受理されるや、15歳で帯刀! ベルばらもビックリ、“幕末のアンドレ”と呼びたくなる男装の麗人だ。
私塾「興志塾」(通称「人参畑塾」)を創設すると、乱暴者ばかりが集まり、塾はいつしか梁山泊と揶揄され、本人も「人参畑の女傑」の二つ名を頂戴することに。虚弱対質であったため表舞台に名を轟かすことはなかったが、思想の影響力は吉田松陰レベルだったとも。
最後に、文系路線で杉本鉞子(1873~1950・すぎもとえつこ)をご紹介。明治生まれではあるけど、育った長岡は江戸から遠く近代化からは程遠かった。それゆえ、鉞子は武家の娘として厳格に育てられたそう。結婚を機に渡米し、自身の経験を綴った「武士(さむらい)の娘」を発表すると、なんと9ヵ国語に翻訳されるほどの大人気作品に! 日本人初の米国におけるベストセラー作家であり、その後、コロンビア大学の講師にまでなってしまった武家の娘。朝ドラでもいけそうな波乱万丈人生です。
と、まぁ、探せばまだまだいる八重に負けないスーパーレディたち。次なる大河モチーフの栄冠は、誰の手に!?