スポーツ

かわぐちかいじ氏、神足裕司氏 躍進カープにエールを寄せる

 広島東洋カープが16年ぶりにAクラス入りし、CSを盛り上げた。広島県尾道市出身、『ジパング』『太陽の黙示録』などの作品で知られる漫画家のかわぐちかいじ氏(65)も1975年の初優勝から1991年までの17年間で優勝6回というカープ黄金時代を味わったファンの一人だ。

「強くなった頃にはもう上京していたんですよ」

 カープの情報を得るにはラジオしかなかったが、中国放送の音はかわぐち氏の持っているラジオには8時からしか入ってこない。それまでは他局のラジオ放送で、試合の途中経過を聞いてやり過ごし、悶々とした。

「8時を過ぎるまでは音が切れ切れでさ、ノーアウト満塁……バッター山本の……オーッとなった瞬間に消えていく(笑い)。おいおい、何で肝心のところでラジオ切れるんだよ、とツッコミをいれてね。でも、逆にずっと音が繋がったらこれは仕事にならないな、とその頃は本気で心配していましたよ。

 逆に巨人は毎日テレビでもラジオでも中継される。巨人ファンは東京に住んでいたら仕事どころじゃないなと思っていたけど……こんなに球団を愛しているのって広島ファンぐらいだってのに後から気付きました(笑い)」

 東京で広島ファンを隠すことはしなかった、とかわぐち氏はいう。すると、類は友を呼ぶのか、広島ファンのもとには広島ファンが集ったという。

「一方、巨人ファンの人たちは自分がメインストリームということに対して、少し恥ずかしがるところがあるんだよね。ローカルに遠慮する感じというかさ。

 僕たちにとっては阪神だってローカルじゃないんですよ。巨人と阪神はコインの裏表。権力の巨人に対して、阪神ファンは“反権力”の代表みたいな顔をしているけど、私ら広島モンからいわせれば所詮、両方権力ですよ。そうした都会のエリート球団をローカル球団が倒す快感がたまらない」

 かわぐち氏が今季CSの彼らの闘いぶりに涙したのは言うまでもない。マエケンや大竹の熱投、梵の堅守、野村監督のリーダーシップ……カープの闘いぶりに、人々の心は強く揺さぶられたに違いない。

 2年前、くも膜下出血で生死を彷徨い、現在はリハビリ中の神足裕司氏(56)もその一人だ。広島市出身のコラムニスト。未だ会話もままならないが手書きメッセージを寄せてくれた。

〈ボクの生まれた昭和32年に旧広島市民球場はできた。ど~んと市内の中心に存在感バリバリで建っていた。それが(2000年初頭)JR貨物ヤード跡地に移転することになって、「ホンマに新球場の建設は進むんかいな」と当初心配していた。

 でも日本人のほとんどが巨人ファンだった時代、よくぞ広島にカープはあった──その歴史は買えないから絶対にカープをなくしちゃダメだ! そんなことまで(市民に)考えさせる移転だった。

 広島には強い武器があった。“地元”“地域”って故郷を思う気持ちが強いことだ〉

 2004年から新球場建設のために半世紀ぶりに「たる募金」は行なわれた。最終的に1億2500万円が集まった。そして2009年、「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」は完成した。

〈新しい広島市民球場は、広島人の力の結晶だ。だから、そろそろ今年あたりAクラス入りしても、当然なのだ〉

 神足氏はいま、カープの活躍に背中を押されるようにリハビリに励んでいる。メッセージの終わりはこんなカープへの激励で締められていた。

〈恐いもん、ないけんね。ど根性なのだ。ワッショイ!〉

※週刊ポスト2013年11月1日号

関連記事

トピックス

(左から)豊昇龍、大の里、琴櫻(時事通信フォト)
綱取りの大関・大の里 難敵となるのは豊昇龍・琴櫻よりも「外国出身平幕5人衆」か
週刊ポスト
セ・リーグを代表する主砲の明暗が分かれている(左、中央・時事通信フォト)
絶好調の巨人・岡本&阪神・サトテルと二軍落ちのヤクルト村上宗隆 何が明暗を分けたのか
週刊ポスト
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
過去に共演経験のある俳優・國村隼(左/Getty Images)も今田美桜の魅力を語る(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
《生命力に溢れた人》好発進の朝ドラ『あんぱん』ヒロイン今田美桜の魅力を共演者・監督が証言 なぜ誰もが“応援したい”と口を揃えるのか
週刊ポスト
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン