数多くの人を魅了してやまない鉄道。鉄道を愛する気持ちも多様な形があり、一口に鉄道ファンといっても、鉄道写真が趣味の「撮り鉄」、様々な路線に乗車することが趣味の「乗り鉄」、切符や鉄道部品などを好んで収集する「収集鉄」、あるいは引退する車両のファン「葬式鉄」など様々だ。
とはいえ、撮り鉄の中には撮影に夢中になるあまり、線路内に無断侵入したり、他の鉄道ファンを押しのけるなどトラブルを起こす者も一部おり、マナーの悪さが指摘されることもある。とんでもない輩になると、「邪魔だから」と撮影スポットの樹木を切ってしまうほどだ。こうした一部ファンの素行は、鉄道好きの子ども達にどう映っているのだろうか。
9月末、東急電鉄の車両工場(横浜市)の一般公開には、抽選で選ばれた3000人の鉄道ファンや家族連れが訪れていた。車体の修理を間近で見たり、高所作業車に乗ったりと、多くの子ども達の歓声が上がっていた。その会場にいた、小学1年生の男の子A君(撮り鉄)に話を聞いた。
「僕もよくお父さんと一緒に、電車を撮りに遠くまで出かけます。僕はそこまで見たことないですが、たしかに珍しい電車の時は、怒ってる人や三脚が人に当たってる人を見たことあります。実際僕も、肩車をしてもらったら後ろの人に注意されたことがあるので、それ以来、他の人に迷惑かけないよう気を付けるようにしています!」
子どもながら、他の人に迷惑をかけない、という最低限のマナーをしっかり学んでいることがよくわかる。A君に車両工場の感想を聞くと、「今日一番楽しかったのは、電車と綱引きをしたことでした。何十人で引っ張ったけど、電車はびくともしなくて、すごかったです。つり革と車内板を買ってもらいました。修理してるところは初めて見たので、とても面白かったです」と目を輝かせた。
こうしたちびっこファンのためにも、大人の鉄道ファンがマナーを守るのは、最低限のことである。20代前半の撮り鉄の男性は、こう語る。
「最近では、ホームページでの注意喚起やポスターなども増えました。近隣住民や一般客からの苦情も増えているようで、メディアでの撮り鉄のマナーについても取り上げられる機会も多くなりました。
公共の場で撮影する以上、マナーはしっかり守るべきです。一部のファンのブログでは、“このスポットからの撮影はもうできません”と注意書きもあります。撮り鉄のマナーも少しずつ改善していきたいです」