中国では10月1日から7日にかけて、「国慶節」の大型連休があった。この間、中国人観光客が大挙して国外に“流出”し、行く先々でマナーの悪さが問題視された。飛行機のナイフやフォークを持ち帰ったり、ホテルの朝食バイキングでは、1日分の料理を持ち帰るばかりか、空いたペットボトルにジュースやコーヒーを次々と詰めることもあるという。
彼らが持ち帰るのは、食器や食べ物ばかりではない。中国人にとって、ホテルの備品とあらばあらゆるものを持っていくのが当たり前になっている様子。沖縄の某ホテルの従業員がため息をつく。
「タオル程度ならまあ仕方がないのですが、お湯を沸かすポットや液晶テレビまで持っていかれたことがあります。県は中国人観光客の誘致に懸命だけど、正直、迷惑だし、下手をすると大赤字です」
今では中国人のこうした“持ち帰り”に対抗するため、テレビを鎖でつないで防衛しているホテルも少なくない。大浴場のシャンプーやリンスまで持っていかれているようで、ボトルをプラスチック製の鎖でつないでいる温泉宿も。旅行中にあの大きなシャンプーのボトルを持ち歩いて、中国まで持って帰るとは……その物欲エネルギーには恐れ入るばかり。自分のものは自分のもの、他人のものも自分のもの──これが中国人には当たり前の感覚なのだろう。
※週刊ポスト2013年11月1日号