全国に210ものホテルチェーンを展開するAPAグループ。同社のホテル事業を総括しているのが、大きなつば広帽でお馴染みの元谷芙美子さん(66才)だ。
高校卒業後に大学進学を希望していたが、父親が病気で倒れたこともあり、やむなく地元の信用金庫へ就職。お金の面で苦労したこともあったのでは、と尋ねると、あっけらかんと否定した。
「あまり苦労した記憶はないし、特に節約もしていなかったです。でも物を大切にするといったことは、当時も今も常に心がけています。
小さい頃、母がはぎれを利用してよく洋服や帽子を作ってくれたんです。今でも古着を再利用するのはもちろん、お料理でもにんじんの皮を天ぷらやきんぴらにしたり。野菜くずを捨てるなんてことは、ありませんね」(元谷さん・以下「」同)
端から見れば食材を使い切る堂々たるどケチぶり。しかし、本人にその意識はない。
「使うところは使うのが、気持ちを豊かにするコツだと思います。小さくヘソクリを貯めることも先への備えですが、自分への投資も大切。勉強して資格を取ったり、趣味に使ったり。1万円は物を買えば1万円の価値しかありませんが、自分に投資すれば、いずれ何倍にもなって還ってくるものです。私も53才になってから大学へ行きました」
18才での挫折を胸に秘め、家事を終えた後、夜11時から深夜2時まで勉強したという元谷さん。時は金なり、を体現する女傑だ。
※女性セブン2013年10月24・31日号