臨時国会が開幕した永田町で、いまもっとも“熱い場所”は、「吉野家永田町1丁目店」だろう。
通行証がなければ入ることのできない議事堂敷地内に、吉野家がオープンしたのは10月11日のこと。連日大行列をなしている。営業時間は、朝9時半~夕方4時まで。
「オープン以来、週に2~3回はこの店で朝飯を食べています。そのときにも、店内には『牛重弁当7個、○○先生の事務所まで』という昼の予約の声が飛んでいますよ」(自民党議員秘書)
“サラメシ”の代名詞・吉野家には似つかわしくない大物センセイも興味津々のようだ。
「まさか安倍首相は行かないと思うが、菅官房長官は結構乗り気。『今度、外国産牛丼食べに行くか』といっている」(官邸関係者)
なぜ、どこでも食べられるこのメニューに人気が集中するのか。民主党中堅議員の秘書が明かす。
「議員会館や、国会議事堂内にも食堂はありますが、私はこれまで2回しか利用したことがありません。値段が安いわけでもないのに、学食や病院食のような味気ないものばかりで皆辟易していたんです。長く他の店と競うことがなかったからでしょうね。3年前に議員会館が新しくなって、地下にコンビニやコーヒーチェーンが入ったときは、みんなそっちにいっていましたからね」
オープンから6日経った16日、11時半の時点で吉野家には10人以上が並んでいた。一方、議員会館内の食堂は、12時をすぎても、半分以上が空席。食堂には、窓際に用意されたガラガラの「議員専用席」が物悲しさを増長させていた。
ライバル店との激しい戦いに日々晒されている牛丼メーカーと、そんな競争意識すらない食堂では、味も価格も大差がついてしまって当然なのかもしれない。
※週刊ポスト2013年11月1日号