東京・三鷹に住む高校3年生の女子生徒(享年18)が10月8日、元交際相手の無職・池永チャールストーマス容疑者(21才)に殺害された。池永容疑者は、女子生徒に対してストーカー行為を繰り返していた。
警察庁によると、2012年のストーカー認知件数は1万9920件と、2000年にストーカー規制法が施行されて以降、最悪の数字を記録している。うち、被害者の約9割が女性だ。今回の事件のように若い人だけが狙われているようにも思えるが、世代別ストーカー被害件数は20代が35%、30代が27%、そして40代以上の女性が約30%を占める。決して他人事ではないのだ。
都内に住む主婦A子さん(40代)が自身のストーカー体験を教えてくれた。A子さんは最近、10年ぶりに中学時代の同窓会に出席した。テーブルの横に座ったのは、イケメンで有名なBさんだった。
「私、あの頃、Bのこと好きだったのよね」
なんて思い出話に花を咲かせた。お酒も入っていい気分になったA子さんは、夫の愚痴をこぼし、連絡先を交換して、Bさんと別れた。
後日、Bさんから「仕事でA子さんの家の近所に行くんだけど、ランチしない?」とメールで誘われた。近くのファミレスでランチをすると、「旦那さんとうまくいってないの?」としつこく聞いてくる。
それからというもの、毎週のようにランチの誘いが来るようになり、返事をしないと毎日何通もメールが送られてくるようになった。A子さんが振り返る。
「怖くなって…同級生に間に入ってもらって、連絡しないようにお願いしました。その同級生からは、Bさんってイケメンだけど、恋愛経験があまりないみたいで、今も独身なんだって聞きました。この年になってストーカーに遭うなんて思いもしませんでした」
このBさんと池永容疑者に共通するのは、相手が自分を好きではない、恋愛感情がないという現実を受け入れられないという点だ。ストーカーやDVに詳しい弁護士の淺松千寿さんは、その原因のひとつに「男性の精神的未熟さ」を指摘する。
「フラれることは男女ともにつらいことです。だけど、その経験を何度もすることで、つらさを克服する強さを身につけていくんです。しかし、最近の男性はこの経験が少ない。だから、自分が好きなのに離れていく女性がいた場合、つなぎとめようと思って、ストーカーに豹変してしまうことがあるんです」
池永容疑者は、女子生徒が初めての恋人で、有名大学の学生と嘘をついてまで交際したい相手だった。恋人関係が終わったという現実を受け入れられなかった池永容疑者。社会心理学者の碓井真史さんは、女子生徒の着信拒否が凶行の引き金になった可能性も否定できないと話す。
「池永容疑者は、一方的に、突然、関係を断ち切られたと受け止めたのでしょう。自分の存在自体を否定されたと思ってしまったのかもしれません。結果として逆上してしまった」
池永容疑者をはじめフラれ慣れてない男性は、別れる際の距離の取り方に気をつけないと、ブレーキのきかないストーカーと化してしまうという。
※女性セブン2013年11月7日号