日本における通販市場は拡大し続けている。日本通信販売協会によると、2001年に2兆4900億円だった市場は、2012年は5兆4100億円となり、この10年で2倍強の伸びを見せた。前年比でも売り上げは6.3%増だ。『お買い物の経済心理学』(筑摩書房刊)の著書がある専修大学経済学部教授の徳田賢二さんは、次のように話す。
「世間では“アベノミクス”と騒いでいますが、小売業は前年比で1.8%増にとどまるなど、それほど好調ではありません。そんななか、通販だけは非常に伸びていて、特にネットとテレビ通販は成長しています。それに5~6年前まで高額商品は通販では売れないとされていましたが、海外セレブが“通販で宝石を買う”といったニュースも話題になるなど、かつての“通販”のイメージがずいぶん変わってきているのです」
日本でも、24時間ショッピングチャンネル「QVC」が300万円近いメルセデス・ベンツや1000万円の指輪を販売して話題になった。商品の輸入などメーカーと通販会社の間を取り持つ通販ベンダー会社・アペックス社長で通販コンサルタントの芳子ビューエルさんが言う。
「東日本大震災の後、やや自粛ムードはありましたが、手軽さなどが現代人のライフスタイルに合っていると見直され、盛り返してきました」
この10年、テレビ通販が成長を遂げる鍵となったのが、女性だ。
「私どもの調査でも、インターネット通販は男性が利用する割合が高いのですが、テレビ通販は女性のほうが多いという結果が出ています」(日本通信販売協会担当者)
売上高業界1位のジュピターショップチャンネルの場合も、顧客の91%が女性で、そのうち40~60代が8割近くを占めているという。
※女性セブン2013年11月7日号